2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代のMRI撮像法に対応した信号対ノイズ比評価法の開発
Project/Area Number |
23791422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上口 貴志 大阪大学, 医学部附属病院, 医療技術職員 (80403070)
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Keywords | 磁気共鳴 / 画質 / ノイズ / 放射線医学 / MRI / 信号対ノイズ比 / 画像診断 / パラレルイメージング |
Research Abstract |
MRI(磁気共鳴画像法)において,SN比(信号対ノイズ比)は画質を客観的かつ定量的に評価する重要な指標であり,その測定法はすでに確立されている.しかし,MRIにおける画像化技術の急速な発展を受け,古典的な測定法では正確なSN比評価が困難となりつつある.たとえば,従来のSN比測定法はノイズの空間分布が均一であることを仮定するが,近年主流の撮像法ではノイズの空間分布は不均一であり,原理的に従来の測定法を適用することはできない.臨床研究における公正な画質評価や日常臨床における撮像法の最適化作業には主観に頼らない画質評価が不可欠であり,次世代に向けてのSN比測定法の確立は喫緊の課題である.そこで本研究の目的は,この問題を早急に解決するための新しいSN比測定の理論を確立することとした. 本研究初年度は,有意な信号成分とノイズ成分が混在する画像からノイズ量だけを正確に定量し,精度よくSN比を算出するための理論構築を行った.これには信号成分とノイズ成分の周波数特性の違いを利用し,多重解像度解析とよばれる方法を活用した.理論の妥当性については,計算機シミュレーションと実測画像を用いた検証を行い,本理論はきわめて精度が高いことを示した.SN比はMRIのみならず,さまざまな医用画像においても用いられる指標であることから,X線CT(コンピュータ断層撮影)や核医学断層撮影で得られた画像に対しても本理論によるSN比評価を応用した.本理論の実用上の問題点として,計算法が複雑でパラメータが多く,画像の性質によって最適なパラメータが異なることが挙げられた. 本研究最終年度では,実用化を見据えた理論の再構築を行った.そして,簡便な画像処理を加えるだけで精度よくノイズ成分を定量するアルゴリズムを開発し,臨床画像等による検証の結果,きわめて簡便かつ高精度にSN比を求めることが可能となった.
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