2012 Fiscal Year Research-status Report
新たな磁気共鳴撮像法を用いた定量的な関節軟骨障害の早期検出・重症度評価法の開発
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23791431
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高山 幸久 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60546563)
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 変形性膝関節症 / T1ρ / MRI / T2 / 軟骨 |
Research Abstract |
本研究は、磁気共鳴画像法の一種である、T1ρ値計算画像を用いた、関節軟骨変性の検出と、その重傷度の定量的評価法を確立することである。今年度は、重度の変形性膝関節症(以下OA)のため、人工膝関節置換術を行った患者を対象として撮像した画像所見と、人工関節置換術施行後の切除標本より得た病理学的結果の対比を行った。 方法は、肉眼的所見による関節軟骨変性の重症度を5段階のスコア(0;正常~4;関節軟骨消失)で分類した。それを元に関節軟骨標本を重症度毎に領域分け(例えば正常と軽度変性が同一標本に混在している場合は、正常部と軽度変性部がどの範囲に広がっているか)を行い、各切除標本毎に”重症度マップ”を作成した。画像所見として本研究の目的であるT1ρ値計算画像に加えて、既にその有用性が報告されているT2値計算画像を用いた。重症度マップを参照しながら、領域毎に重症度スコア、平均T1ρ値と平均T2値を算出した。T1ρ値やT2値と重症度の相関、T1ρ値及びT2値計算画像それぞれの正常と早期OAの鑑別能に関して、統計学的に検証した。 結果は、重症度進行に伴い平均T1ρ値およびT2値は有意に上昇した。この結果は動物実験やin vitroで行われた先行研究と矛盾しないものであり、in vivoで行った我々の結果も妥当であると判断した。正常部と早期OAの鑑別能に関しては、T1ρ値計算画像はT2値計算画像よりも優れている結果が得られた。これはOA初期に生じうる生物学的変化、すなわちプロテオグリカンの減少をT1ρ値計算画像がより鋭敏に検出することができるということが証明しているのではないかと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究へ賛同し参加して頂ける対象者が、当初予測していたよりも少ない人数であったが、一定の成果は得られている。学術学会における発表や論文作成などの成果発表も順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
T1ρ値計算画像による関節軟骨変性の評価を行い、現時点で一般診療に広く用いられているT2値計算画像との対比も行った。今後の研究を進めていく上で、ある程度の有用な成果は得られている。来年度は、関節リウマチや靭帯損傷の患者を対象として、T1ρ値計算画像を撮像する。それぞれの画像所見を、手術後の切除標本より得た病理学的結果や臨床所見との対比を行い、他疾患への有用性も検証して行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内および国外にて開催される学会において研究成果を発表する。また、研究成果は論文として投稿する。学会への旅費および参加費、論文作成時の英語校正に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)