2012 Fiscal Year Research-status Report
高磁場MRIを用いた微小再発真珠腫の検出法および術前診断支援システムの開発
Project/Area Number |
23791432
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 孝二 九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)
|
Keywords | 真珠腫性中耳炎 / 拡散強調像 |
Research Abstract |
・研究開始当初の背景 真珠腫性中耳炎の診断においてMRI拡散強調像での高信号は存在診断に有用とされているが、空間分解能においてCTに劣る事や周囲の空気・骨によるアーチファクトの存在により、正確な局在診断の評価(特に骨構造との位置関係)は困難である。このような場合、MRIの信号異常部位をCTの位置情報に重ね合わせる事が出来れば、真珠腫の再発および術前診断に有用となるだけではなく、真珠腫の正確な進展範囲を術前に把握し、再発率の低下につながる。さらに術中ナビゲーションシステムとして活用できれば、手術を行う耳鼻咽喉科医にとって死角となりうる鼓室深部に関する重要な情報提供を行う事が可能となる。 ・MRIでの耳小骨等微小構造の可視化 MRIを用いた骨構造の描出は非常に困難とされていたが、新たな撮像法の開発により可能となりつつある。Ultrashort TEを用いたMRI画像では耳小骨構造の描出が可能となり、さらに改良をすすめる事で、CTを用いない検査が可能となり、術前・術後の経過観察において繰り返し検査する際に、放射線被曝を考慮する必要性がなくなる。また、拡散強調像とのフュージョン画像作成においても、同じモダリティを用いる事により、1回の検査で精度の高い画像作成が可能になるものと期待される。Dentomaxillofacial Radiology誌に投稿、2012年10月号に掲載された。 ・高精度レジストレーション(位置合わせ)手法の開発 すでに1.5TMRIにてMulti-shot EPIを用いた方法にて術前真珠腫の診断能向上を達成したが、さらに信号雑音比が高いとされる高磁場MRIを用いた拡散強調像の最適化を進めている。具体的にはスライス厚を薄くする3次元の拡散強調像を撮像する事により、CTとのフュージョン画像作成を容易とする方法を開発し、2013年2月の神経放射線学会にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRIでの耳小骨等微小構造の可視化に関しては、国際学会にて発表後、論文を作成しDentomaxillofacial Radiology誌に投稿、2012年10月号に掲載されている。 また、高精度レジストレーション(位置合わせ)手法の開発についても高磁場MRIを用いた拡散強調像の最適化を行い、従来報告されている拡散強調像と比べてさらに薄いスライスでの撮像が可能となり、さらに3次元での撮像が可能となった事により、今後CTとのフュージョン画像作成につながるものと期待される。本研究経過の一部を学会発表しており、さらに論文作成中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
拡散強調画像撮像法の最適化 高磁場MRIでの拡散強調像を開発しており、分解能向上も達成しているが、その証明において従来法および論文にて報告されている方法との比較・検討が必要であり、症例検討を増やしていく必要がある。 高精度レジストレーション(位置合わせ)手法の開発 現在、PET-CTは悪性腫瘍の早期発見として、臨床的に汎用されているフュージョン画像である。近年、CTは多列化がすすみ、冠状断・矢状断等の再構成画像の作成が容易となっており、異なるモダリティの画像であっても、3次元的・非線形的に重ね合わせる事が可能となりつつある。本研究ではPET-CT作成手法を応用し、側頭骨領域におけるCT/MRIフュージョン画像の開発を行う。レジストレーションの正確性向上のために、CTおよびMRIの撮像期間がなるべく空かない様に配慮していく。これにより、真珠腫の局在および進展範囲(耳小骨や、骨迷路などの内耳器官との関係)を視覚的に理解しやすくし、術前マッピングとして有用となるのみならず、術後の経過観察において真珠腫再発の有無を同定する際にも有用となる。レジストレーションのアルゴリズムは、ボクセルのintensityを照合することによるパラメトリック変形の最尤推定に基づいて行う。正当性に関しては手術所見との対比しながら、術中ナビゲーションシステムの性能評価を随時行っていく。従来法との比較・検討が完了した時点で、随時施行していく計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の成果を社会・国民に向けて発信するために、積極的に国内外の学会で発表を行い、論文発表を行う。そのために、国内・国外旅費、研究資料収集、学会誌投稿料、印刷費が必要となる。 本研究ではCTやMRIおよびフュージョン画像を用いるため、大量のデータ保存のための大容量ハードディスクやCD/DVD-ROM等が必要となる。
|
Research Products
(13 results)