2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療における放射線増感を目指したDNA損傷シグナル増幅の分子機序の解明
Project/Area Number |
23791434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 正敏 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60515823)
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Keywords | DNA二重鎖切断 / 放射線誘発フォーカス形成 / 老化様増殖停止 / 生細胞ライブイメージング / 乳がん / 53BP1 |
Research Abstract |
DNA二重鎖切断マーカーであるリン酸化H2AXなどが形成するフォーカスが放射線照射後の時間経過とともに巨大化することを報告しているが、研究課題初年度において、がん細胞と正常細胞でフォーカスの巨大化に違いがある事を見いだした。がん細胞では相対的にサイズが小さいものの、放射線照射直後と比較すると一定のサイズまで増大している事から、がん細胞ではフォーカス巨大化機構が抑制されている可能性が考えられた。クロマチンはエピジェネティックな修飾によってその構造変換が起こり、その修飾様式のひとつであるメチル化に関連するポリコーム複合体構成因子のBmi-1やEZH2などががん細胞で過剰に発現している事から、フォーカスの巨大化におけるメチル化の影響を調べた。そこで、RNAiによるこの因子の発現抑制後に放射線誘発フォーカスのサイズを検討した。50%以上の発現抑制が確認された細胞において、フォーカスサイズに著しい変化が見られなかった。そのため、メチル化酵素阻害剤を処理後に同様の検討を行ったところ、フォーカスサイズの変化は観察されなかった。次に、フォーカス巨大化の細胞周期依存性に関する検討を行った。細胞周期マーカーを導入したがん細胞を用いて照射直後から継時的なフォーカスサイズの解析を行った。照射直後では細胞周期に関わらず観察されるフォーカスサイズはほぼ等しく、小さな点状のフォーカスを形成した。その後、時間の経過とともにG1期にいる癌細胞ではフォーカスサイズの増大が観察された事に対し、G2期細胞ではフォーカスサイズの増大が観察されなかった。しかしながら、G2期からG1期へ細胞周期が移行すると残存フォーカスのサイズが増大した事から、フォーカスサイズの巨大化はG1期で特異的に生じる事が確認された。今後は、G1期特異的なフォーカス巨大化に関与する因子の探索と、放射線感受性への影響解析が必要と思われる。
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Research Products
(4 results)