2012 Fiscal Year Annual Research Report
フォトンカウンティングを利用した医療用小型スペクトロメータの開発
Project/Area Number |
23791451
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (70450195)
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Keywords | リニアック / エネルギースペクトル / 逆問題 |
Research Abstract |
本研究は、放射線治療の医療現場で用いられる小型線形加速器(リニアック)から出力されるX線光子のエネルギースペクトルの推定方法の基礎開発を目指すものである。平成24年度は、PDD(深部線量百分率)からエネルギースペクトルを推定する手法の開発を行った。 現在どの病院でも測定可能なPDDを使って、X線のエネルギースペクトルを推定することができれば、手軽に自分の病院の線形加速器から出力されるX線エネルギースペクトルの正しさを検証できることになる。PDDは、本来、X線エネルギースペクトルの情報を反映するはずであるから、PDDから逆問題としてエネルギースペクトルを推定できるはずだというのが着眼点である。PDDの単色光子に対する応答は、基本的に多数の散乱過程を含むので、モンテカルロシミュレーションで作成する必要がある。そこで、EGS5を用いて、PDD取得用の水槽をモデル化し、システムの応答関数を構築した。線形加速器から生じるX線は制動放射由来であり、連続スペクトルであることが期待されるので、PDDは、上記の方法で求めた応答の線形結合で表されると仮定し、事後確率最大化法(MAP)推定で光子のエネルギースペクトルを推定した。エネルギースペクトルの事前分布としては、モンテカルロシミュレーションによる結果を用いた。線型モデルとMAP推定を組み合わせたこの手法による解の決定は比較的頑健であり、治療計画器中のエネルギースペクトルとの比較でも矛盾のない結果が得られた。 これらの研究成果を、アメリカ医学物理学会(AAPM)での口頭発表、プロシーディング、第104回日本医学物理学会学術大会および第105回日本医学物理学会学術大会での口頭発表、第1回ゲル線量計研究会での口頭発表、日本物理学会秋期年会のシンポジウムの講演として発表した。また、これらの成果を現在Medical Physics誌に投稿中である。
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