2012 Fiscal Year Research-status Report
パラメトリック単色X線(PXR)を用いた新たな光線力学療法(PDT)の開発
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23791453
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
雫石 崇 日本大学, 医学部, 助手 (30570741)
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Keywords | ポルフィリン / パラメトリック単色X線放射 / 放射線増感 |
Research Abstract |
昨年度放射線増感剤の候補として選別したヨード元素の結合したポルフィリン誘導体(717)のin vivoにおける白色X線での放射線増感効果を検討した。 6週齢の雌性SCIDマウスの背部皮下にヒト膀胱癌T24を2×107個移植して固形腫瘍を作成した。移植腫瘍の十分な増大を確認した後、Porphyrin誘導体(717)を10mg/kg局所投与した。なお、この濃度はマウスの全身投与時の文献の濃度である。Porphyrin誘導体による光線過敏症を避けるために投与後は暗室内で飼育した。717投与24時間後に安楽死させ腫瘍を摘出し凍結切片を作成した。4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーで30分間固定した後、封入し蛍光顕微鏡で励起波長620nm吸収波長700nmのフィルターで観察した。717は局注後24時間の時点で、マウスに皮下移植したヒト膀胱癌T24腫瘍細胞内に取り込まれていることが確認された。 次にPorphyrin誘導体(717)局所投与24時間後にヌードマウスの腫瘍以外を鉛板で遮蔽し腫瘍にのみ白色X線を照射した。照射条件は白色X線のエネルギーのピークをヨード元素のK吸収端の33keVに設定し5Gyの一回照射を行った。白色X線照射単独群に比較して717を腫瘍に局注し24時間後に白色X線を照射した群で腫瘍増殖の抑制が見られたが現時点で統計学的な有意差は確認されていない。 PXRに関しては電子を入射させるターゲット結晶を従来のシリコン(Si)結晶からダイヤモンド結晶への置換を検討した。まずはダイヤモンド結晶の固定ホルダーの作成を行いその後、電子をターゲット結晶に入射させPXRの発生に成功した。Si結晶からのエネルギー(波長)の大幅な上昇を確認した。同じBragg角ならシリコン結晶に比較して2.2倍高くなり、 例えばシリコン結晶で20keVとなる条件で40keV強となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膀胱癌細胞(T24)のXenograftヌードマウスの腫瘍増殖曲線において717+白色X線群においてコントロール郡と比較して有意差は確認されないながら腫瘍増殖の抑制が見られた。 電子をダイヤモンド結晶に入射させPXRの発生に成功しSi結晶からのエネルギー(波長)の大幅な上昇を確認した。ただし実験後にダイヤモンド結晶に損傷が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨード元素の結合したポルフィリン誘導体(717)の既存の白色X線での放射線増感効果をin vitroおよびin vivoで確認出来たが有意差は確認されていない。 今年度は有意差が確認される白色X線の照射条件や717の濃度条件の検討さらにポルフィリン誘導体以外の腫瘍親和性の新たなヨード元素の結合した化合物について同様の実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たなヨード元素の結合した化合物の大量合成用の試薬、培養用の消耗品、細胞株Xenograft作成マウス、PXRの消耗品、学会参加費、論文投稿費が主な使用目的である。
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Research Products
(1 results)