2012 Fiscal Year Research-status Report
CT脳血流測定の信頼性検証:主幹脳動脈狭窄・閉塞に伴う血管拡張に関連して
Project/Area Number |
23791461
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Research Institution | Research institute for Brain and Blood Vesseis Akita |
Principal Investigator |
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 主任研究員 (40360359)
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Keywords | 脳血流量 / CBF / PET / CT / perfusion / CBV |
Research Abstract |
脳血管狭窄・閉塞による脳卒中の診断において,脳血流量(CBF)測定は病態把握や治療方針の決定に有用な情報を与える。現在最も精度が高いとされるのは,ポジトロン断層撮影法(PET)等の核医学的手法である。本研究の目的は,近年の装置進歩により普及が進みつつあるCT perfusion法(CTP)の信頼性検証を,PETとの比較を通して行うことである。両手法の測定原理から,CTPは血管拡張領域(CBV上昇領域)においてPETに比べてCBF高値を示す可能性があり,実際のイメージングにおいて観測されうる違いを生じるかを検証する。 昨年度までに,片側性の主幹動脈閉塞・狭窄を伴う脳疾患患者20例を解析対象とした検討を行った。本年度は症例を追加して28例での解析を行い,第24回日本脳循環代謝学会において「PETとの対比によるCT脳血流測定法の検証:主幹脳動脈狭窄・閉塞に伴う血管拡張に関連して」の発表を行った。自動ROI設定ソフトウェアである3DSRTを利用したPETとCTP間でのCBF比較解析から以下の結果を得た。1)症例ごとの解析に関しては,絶対値CBFは両手法で良く相関し,これは既報と同様である。2)CBF低下程度を表す指標として患側‐健側CBF比(以下,CBF比)を症例間で比較したところ, CTP CBF比の顕著な過大評価が見られた。3)PET CBV比で2群(CBV上昇群,CBV正常群)に分けて解析を行ったところ,CTP CBF比の過大評価はCBV上昇群に起因していることがわかった。以上より,CBV上昇を示す血管拡張症例においては,CTP CBFの解釈には注意が必要であると考えられる。 今回得られた結果が処理系依存であるかを明確にするため,CTダイナミックデータを処理するシステムを構築し,処理を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,得られた脳循環マップに対して関心領域解析を行う共に,しきい値法の検証を行う予定であった。しかしながら研究の進捗に伴い,関心領域解析において解析結果の再現性が十分でないことが判明した。これはCT脳循環マップに対するユーザーの領域設定の不安定性が原因であると考えられ,これを解決するため関心領域自動設定による解析手法を導入した。これにより安定した関心領域解析結果が得られたが,予定年度内までにはしきい値法の検証までには至らない見通しとなった。このため,これら検証と最終結果のまとめおよび学会・論文発表を目的として,期限延長の申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の症例追加により,データ量としては十分であると考えられる。本年度構築したCTダイナミックデータ処理システムを用い,現状使われている血管影響除去法以外の手法を適用する。CTPで同時に計算されるCBVをもとに脳実質と血管容積の割合を推定し,CBFに実効的な脳実質の重みづけを行う等の手法を考えている。またデコンボリューション解析による影響の検討を行う予定である。検討結果をまとめ,学会発表,論文作成を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CBV影響除去法の検証,デコンボリューション解析の影響評価,最終結果のまとめおよび学会・論文発表を次年度に行う予定として,未使用額をその経費に充てる。
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Research Products
(1 results)