2012 Fiscal Year Annual Research Report
内用放射線療法における癌の放射線抵抗性誘導機構の解明と新規放射線増感剤への応用
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23791463
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大島 康宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (00588676)
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Keywords | 内用放射線療法 / 131I-trastuzumab / ATP / 細胞外ATP放出 / P2受容体 / 放射線抵抗性 / P2Y6受容体 / 放射線増感剤 |
Research Abstract |
本研究では、固形癌に対する内用放射線療法の治療効果向上を目指し、放射線誘発性ATP放出を介した癌の放射線抵抗性誘導機構ならびにATP選択的受容体(P2受容体)を標的とした新規放射線増感剤の可能性について検討した。HER2特異的抗体であるtrastuzumabに対して131Iを標識した131I-trastuzumabをクロラミンT法により合成し、HER2陽性ヒト卵巣癌細胞株SKOV3における細胞外ATP放出について検討したところ、添加20分後をピークとして細胞外ATP放出が認められた。131I-trastuzumabによって誘導された細胞障害効果は、ATP分解酵素であるApyraseの前処理より増強が認められた。これらの結果より、131I-trastuzumabにより細胞外へ放出されたATPが放射線抵抗性の誘導に関与しうることが示唆された。次に放射線抵抗性に関与するP2受容体のサブタイプを検討したところ、SKOV3にはP2X4、P2Y2、P2Y6受容体の発現が認められ、P2Y6受容体選択的作動薬であるUDPにより、131I-trastuzumabによる細胞障害効果の減弱が認められた。さらに、P2受容体阻害薬であるPPADSおよびP2Y6受容体選択的阻害薬であるMRS2578により、131I-trastuzumabによる細胞障害効果の増強が認められた。以上より、放射線誘発性ATP放出を介した放射線抵抗性の誘導においてP2Y6受容体の関与が明らかとなり、P2Y6受容体阻害薬によって内用放射線療法の細胞障害効果を増強できる可能性が示唆された。
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