2011 Fiscal Year Research-status Report
新規タンパク質部位特異的18F標識法の開発と18F標識EGFの合成
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23791465
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷川 功紀 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ動態応用研究チーム, 研究員 (50525798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | EGF / PETプローブ / N末端特異的標識 |
Research Abstract |
53残基のEGFを標識ターゲットに選択し、N末端特異的標識化のための基礎研究を行った。EGFのN末端にMetを付加したMet-EGFの全合成はFmoc固相合成法を用いて合成した。しかし合成後、逆相HPLCを用いて精製を試みたが、副生成物が完全に除去できないことが判った。化学合成で得ることが困難であることが判ったが、すでに大腸菌を用いた発現系でEGFを合成した例は報告されているので、短鎖モデルでまずはN末端特異的標識法を試みることにした。そこでMet-EGFのN末端20残基を短鎖モデルペプチドとして用いて、N末端特異的にキレーターを導入する研究を行った。20残基の短鎖モデルペプチドはFmoc固相合成法を用いて合成を行った。合成後、逆相HPLCを用いて精製を行い目的となるモデルペプチドの合成に成功した。得られたペプチドを用いてN末端のMet残基をNiとグリオキシル酸を反応させてオキソアシル基に変換する反応を行った。しかしその結果、モデルペプチドにはシステイン残基の側鎖チオール基が遊離の状態で存在していたために、ペプチドがNiと会合してしまい反応がうまく進行しないことが判った。全長のEGFはジスルフィド結合で遊離のチオールは存在しない。そこで標識モデルペプチドとしてはまずシステインを含まない39残基のペプチドを用いて、N末端特異的にキレーターを導入する反応を検討することにした。モデルペプチドとしてはExenatideを選び、Fmoc固相合成法を用いて合成を行った。合成後、逆相HPLCを用いて精製を行い、目的となるモデルペプチドの合成に成功した。現在、このペプチドを用いてN末端特異的標識化のための基礎研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ペプチドの合成が困難であったので目的の達成度に遅れを生じている。またMetの変換反応で金属を用いることでペプチドが会合してしまうことも問題の一つとして明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Metをアルデヒドに変換して、そこにアミンを反応させることでN末端特異的に標識を行う予定で研究を進めている。しかしこの方法では金属を用いて反応を行わなければならず、ペプチドの金属との会合が避けれない問題点として挙がってきている。そこでこの問題を回避するべく、N末端をSer残基に変更し、金属を用いることなくアルデヒド基に変更する変換反応を今後検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデルペプチドでのN末端特異的標識法が成功しなかったので、発現系で全長のEGFを立ち上げることが出来なかったので、当該予算が生じた。今後、モデルペプチドで成功した後に、それを全長のEGFで試す。そのためにEGFの発現系の立ち上げに研究費を用いる予定である。
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