2012 Fiscal Year Annual Research Report
末梢組織における異物排出トランスポータ機能のイメージング
Project/Area Number |
23791468
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
岡村 敏充 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (80443068)
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Keywords | 放射性医薬品 / PET薬剤 |
Research Abstract |
異物排出トランスポータ(MRP1)は生体内に広く分布し、細胞内に侵入する有害な異物を排除している。一方で、MRP1の過剰発現は薬剤耐性に関与し、一部の疾患ではその発現量が変化していることが認められている。従って、MRP1機能のインビボイメージングは薬物治療の改善や病態解明に貢献できることが期待される。しかしながら、末梢組織でのMRP1に特異的なイメージングプローブは開発されていない。前年度、候補プローブの6-bromo-7-[11C]methylpurine ([11C]1)は投与後、肺に移行し、速やかにMRP1の基質に変換されることが確認され、水溶性の基質を効率よく肺組織内に送達することに成功した。本年度は、ポジトロン断層撮像法を用いて、[11C]1についてMRP1機能のイメージングの可能性を検証した。野生型マウスでは、肺組織内で変換されたMRP1の基質は排出速度0.1 min-1で速やかに肺から洗い出されたのに対して、Mrp1欠損マウスでは基質の洗い出しが著しく遅延した(排出速度:0.006 min-1)。また、排出トランスポータのP糖タンパク質と乳癌耐性タンパク質の双方が欠損したマウスの肺における[11C]1の動態は野生型マウスと同様であった。これらの結果から、[11C]1はMRP1に対する特異性が高いことが示唆された。さらに、[11C]1の動態に対するMRP1阻害剤(MK571)の影響を検証した結果、MK571を前投与したマウスでは肺/血液比は対照群と比べて有意に高かく、また投与量依存的に排出速度の低下が認められた。以上、[11C]1を用いることで特異的に肺組織のMRP1機能をイメージングすることが可能であると考えられる。この成果はAmerican Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology誌に掲載予定である。
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