2012 Fiscal Year Annual Research Report
病的肥満症・単純性肥満の原因解明:胃グレリン細胞と食欲・体重増加との関係
Project/Area Number |
23791483
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 安弘 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任研究員 (00571390)
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Keywords | 代謝栄養外科学 / 胃十二指腸外科学 |
Research Abstract |
病的肥満症は本邦においても増加の一途をたどっており、肥満の原因に関する遺伝子レベルでの解明が進む中、食欲ホルモンであるグレリンについては議論の余地が存在する。つまり、肥満患者では血中グレリン値が低いとされているにもかかわらず、その食欲は旺盛で食行動異常などが見られる点である。われわれはこの点に注目し、肥満患者切除胃(袖状胃切除検体)に対して、定量的RT-PCR (reverse transcriptase-polymerase chain reaction)法、免疫染色法を用い、グレリンmRNA発現量、グレリン細胞数をそれぞれ測定した。また、同時に血中グレリン値も測定し、術前肥満患者(肥満群)におけるグレリンプロファイルを検討した。対照群として、性別・年齢を揃えた胃癌切除患者群(非肥満群)を設定した。 袖状切除術あるいは袖状切除バイパス術を施行された52名の肥満患者、および14名の非肥満患者を対象とした。結果、肥満群は非肥満群と比較し、統計学的優位にグレリン細胞数が多く(33.2±18.3 vs. 14.1±6.1: p<0.001).mRNA発現量とグレリン細胞数はおおむね相関していた。一方,血中グレリン値は肥満群の方が低値を示した。 また、肥満群においてもグレリン細胞数の多寡が存在しており、細胞数中央値で二分し、High群・Low群を設定し、比較検討を行った。術式含む患者背景に差を認めなかったが、High群はLow群より統計学的有意に術後体重減少量が多く、胃内局所におけるグレリン発現量は袖状切除術の臨床効果予測因子になる可能性が示唆された。 今後は胃内局所グレリン発現量と血中グレリン値との乖離メカニズムの解明を目指している。グレリンプロファイルを基盤とした肥満治療戦略の確立は、肥満治療におけるテーラーメード治療の開発につながると思われる。
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