2012 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素プレコンディショニングにより骨髄細胞の血管再生機能が増強するか?
Project/Area Number |
23791487
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保 正幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60420519)
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Keywords | 血管再生 / プレコンディショニング / 低酸素 / 骨髄細胞 / 再生医療 / 加齢 |
Research Abstract |
申請者は、健常動物の骨髄細胞に対する低酸素プレコンディショニング(Hypoxic preconditioning: HPC)が細胞移植による血管再生治療を向上させる簡便かつ有用な方法であることを報告してきた。しかし、加齢や様々な病態では細胞障害が生じており、そのような細胞に対するHPCの効果は不明である。そこで、本研究では加齢動物由来の細胞に対するHPC効果を検証することを目的とした。 平成24年度は、低酸素プレコンディショニングが細胞移植による血管再生治療に及ぼす効果をin vivoで評価した。加齢マウス(Aged; 20-22ヵ月齢)と対照マウス(Young; 3ヵ月齢)から骨髄細胞を単離した。次に、単離後の骨髄細胞を低酸素(Hypoxia、2%O2;HPC)または正常酸素(Normoxia、20%O2)条件下で24時間培養後、Agedマウスの虚血下肢筋肉内に骨髄細胞を直接移植することで、血管再生治療の効果を評価した。虚血下肢における毛細血管密度と血流量の変化を、各々、アルカリフォスファターゼ法およびレーザードップラー法にて検証した。Agedマウスにおいて、HPC後の細胞を移植した虚血下肢では有意な毛細血管密度の増加(P<0.05)がみられた。また、虚血下肢の血流量についても有意な改善効果(P<0.001)が認められた。さらに、Agedマウスの骨髄細胞に対するHPCによって得られた治療効果の増強は、Youngマウスの骨髄細胞の場合と同程度であった。 以上の結果から、加齢動物の骨髄細胞に対するHPCによって、細胞移植による血管再生治療の効果を向上できることが分かった。今後、ヒトの骨髄由来細胞をSCIDマウスの虚血下肢筋肉に移植する実験、ならびに、ウサギ等の大動物を用いた実験を行って有用性と安全性を証明した後、臨床試験への移行が期待される。
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