2012 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞移植が障害肝および外科侵襲に与える影響に関する研究
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23791489
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
中村 幸雄 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50516648)
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Keywords | 肝細胞移植 |
Research Abstract |
平成24年度は昨年度の研究成果を踏まえてその成果を英文論文として作成し、現在投稿中である。 1.昨年度に確立したコリン欠乏メチオニン低減アミノ酸食(以下CDAA食)投与によるラット肝硬変モデルに対して新鮮肝細胞を移植することによって、肝切除後のラットの生命予後の延長を認めた。 2.上記移植モデルの組織解析において、肝細胞移植を行うことにより、細胞増殖関連蛋白であるKi67、PCNAおよびNFκBの発現は移植群で多く、これに対して、アポトーシス関連蛋白であるTUNEL陽性細胞数、Cleaved caspase-3、Annexin Vの発現は非移植群で多くなるという結果を得た。これらのpathwayについて明らかにすべく実験を進めたが、今のところ仮説を実証する実験結果を得ることができておらず、今後更に研究を進めていきたいと考えている。 3.これらの結果を「Preoperative hepatocyte transplantation improves the survival of rats with non-alcoholic steatohepatitis-related cirrhosis after partial hepatectomy. 」という論文にまとめ、これをcell transplantation誌に投稿中である。数回のreviceを経て、現在受理され、掲載準備中となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝細胞移植を行うことにより、肝硬変ラットモデルにおいて肝切除後の予後を改善するという結果ならびに肝細胞移植がレシピエント肝細胞に対して肝再生の誘導更には抗アポトーシス作用を発現するという結果が得られたことは、当初の目的の一つが達成されたものである。24年度にはこれらのメカニズムについて検討および解析を行い、蛋白発現までの経路およびその受容体について明らかにすることを目的としたが、これについて完全に明らかにすることはできていない。また、移植細胞の定着についてもその接着因子などの発現について一部は明らかになってきたものの、いまだ不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に、細胞移植の効果の分析として、肝移植後の組織より増殖因子、肝特異的転写因子、炎症関連蛋白質、および細胞周期関連蛋白質の発現解析を行い、その結果を基に細胞移植の効果として、炎症抑制と増殖能の再獲得の2つの結果が得られ、これを国際学会において発表する予定であったが、今年度のほとんどを費やした炎症関連蛋白質分析の結果が有意な差を認めないものであったため、計画を変更し細胞生着にかかわる因子の解析を行うこととした。このため、移植細胞の生着についての解析と因子の究明、更にはこれらの結果発表を次年度に行うこととしたい。 現在投稿中の論文については、掲載まで更なるデータの積み重ねを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
移植細胞の生着についての解析と因子の究明を目的に、未使用額はその経費に充てることとしたい。具体的には、抗体、試薬の購入に600000円、学会発表の準備、英文校正および出張旅費として300000円、その他人件費、謝金として200000円を予定している。
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Research Products
(1 results)