2011 Fiscal Year Research-status Report
肝幹細胞における自己複製制御遺伝子群の探索と肝発癌への寄与の検討
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23791490
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
上野 康晴 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60375235)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 自己複製 / ポリコーム群タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は、PcGタンパク質の中でも特に重要な機能を有するとされるRing1Bに着目し、肝幹細胞における下流制御遺伝子群の同定および機能解析を実施した。(1) 肝幹細胞におけるポリコーム群タンパク質標的遺伝子を同定するため、PcGの構成因子の一つであるRing1Bの下流遺伝子の抽出を試みた。Ring1Bの欠損を誘導した胎生13.5日目のマウス肝臓、およびRing1B欠損を誘導していない胎生13.5日目のマウス肝臓よりCD45- Ter119-細胞を分離し、マイクロアレイ解析を実施した。Ring1B欠損時に脱抑制を受ける遺伝子として、約900遺伝子が抽出された。抽出された遺伝子を対象としたChIP解析を行い、プロモーター領域でRing1Bが集積している340遺伝子を同定した。抽出された遺伝子の中には、サイクリン依存性キナーゼインヒビターCdkn2aなど、細胞増殖制御遺伝子が含まれていた。(2) 肝幹細胞の増殖・分化過程に関与するRing1B下流遺伝子を抽出するため、Ring1B欠損時に生じる肝幹/前駆細胞のクローン性コロニー形成阻害をキャンセル可能な遺伝子の検討を行った。しかしながら、Ring1BとCdkn2aの二重欠損を誘導した肝幹/前駆細胞では、Ring1B単独欠損群と比較して、レスキューの程度は低いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究でPcG複合体の中心的な機能を担うと考えられるRing1Bの下流候補遺伝子の抽出を行い、下流候補となる340遺伝子を抽出した。また、肝幹細胞の増殖・分化プロセスにおいて、Riong1Bと下流候補遺伝子であるCdkn2aとの機能的関係の検討を行った。概ね予定通りに研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で、肝幹細胞におけるRing1B下流候補遺伝子群を抽出し、下流候補遺伝子の一つであるCdkn2aについてRing1Bとの機能的関係性を検討したところ、Ring1Bを介した肝幹/前駆細胞の増殖プロセスではCdkn2a以外の分子の関与が考えられた。そこで、次年度において、Cdkn2a以外のRing1B下流候補遺伝子群を対象として、更なる機能解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
肝幹細胞の分離・特性解析をすすめるため、フローサイトメトリー関連試薬や培養関連試薬の購入を予定している。また、分離した肝幹細胞の増殖・分化プロセスにおいてRing1B下流遺伝子の機能を明らかにするため、ウイルスベクターの構築に関連した試薬購入等を予定している。Ring1B下流遺伝子の発現制御時に生じる肝幹/前駆細胞の表現型を明らかにするため、遺伝子発現解析関連試薬類の購入を予定している。
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