2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791503
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 工 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30598462)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | PLK1: Cambridge, UK / Anticancer drugs Madrid / BRCA1 |
Research Abstract |
本研究は、1.家族性乳癌の原因遺伝子BRCA1の酵素活性が抑制されるとCamptothecin(CPT), PARP阻害薬(PARPi)に高い感受性を示すが、Mitomycin C(MMC)には感受性を示さない、2.多くの癌で予後不良のバイオマーカーとされるPLK1の過剰発現がBRCA1の酵素活性を抑制するという2つの発見に基づき、PLK1の過剰発現を伴う予後不良癌はCPT, PARPiという抗癌剤が効果的であるが、MMCは効果的でないという仮説を検証するものである。この仮説が証明されると、予後不良癌の効果的治療が選択でき、多くの癌で予後の改善が期待できる。初年度は12種類の代表的な癌細胞株を用い、PLK1蛋白発現レベルとCPT, PARPi, MMCに対する抗癌剤感受性の関連をみた。蛋白発現量はウエスタンブロッティングを行いデンシノメーターで定量した。PLK1発現量が最も少ない細胞株の100倍以上の発現をもつ細胞株は4種あり、これらをPLK1-high group、残りの細胞株をPLK-low groupとした。薬剤感受性はセルタイターブルーを用いて測定し、それぞれの薬剤に対するIc50を算出した。これらの関係を解析すると、PLK1-high groupはPLK1-low groupに比べCPT, PARPiに対して有意に高い感受性を示し、MMCに対する感受性は二群間に有意差はなかった。このように本実験の仮説を支持する結果を得た。今後は以下に示すように、さらに多くの細胞株を用いた実験、および代表的な細胞株を免疫不全動物に接種しin vivoでの再現性の検討、さらに臨床サンプルを用いた検討をする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は限られた種類の細胞株を用い、in vitroで仮説が正しいかどうかを検討する予定であった。当初の予定通り、in vitroで本試験の仮説を支持する結果を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究試薬の価格改定にともない1263円の残額があるが、来年度の研究経費に使用する予定である。12種類の細胞株を用いたin vitroでの検討で仮説を支持する結果を得た。今後はさらに多くの細胞株を用い同様の結果が得られるのかを検討する。また同様の傾向がみられた場合は、PLK1-highおよびPLK1-lowのなかの代表的な細胞株を免疫不全動物に接種し、in vivoでの薬剤感受性も検討する。さらに臨床サンプル(手術摘出検体)を用い、PLK1発現量と薬剤感受性をin vitro/in vivoで検討する。CPT, PARPiが効果的である機序を示すために、共同研究のケンブリッジ大学でPLK1過剰発現によるDNA損傷修復への影響を、CNIC(Spain)による今回用いた抗癌剤によるDNA損傷の種類の解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物、細胞培養試薬、その他薬剤を含む試薬等の購入と共同研究者とのディスカッションのために用いる予定である。
|