2013 Fiscal Year Research-status Report
臓器移植拒絶の制御をめざして:新規移植抗原識別受容体MMRの解析と阻害法の開発
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23791505
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山路 純子 (田代 純子) 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40340559)
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Keywords | 移植・再生医療 / 免疫学 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 生体分子 |
Research Abstract |
1.我々が単離したヒトMMR2は同種異系(アロ)MHCのHLA-B62(15)に特異的な結合を示す受容体であるが、平成24年度に新たに2種類のリガンド候補HLAが同定された事から、これらの結合の強さや生体における役割を調べるため、ヒトMMR2タンパク又は末梢血単核球を用いてフローサイトメトリー法(大阪医科大学 研究機構 BD FACSAria)を解析した。結果、ヒトMMR2は、80種類のHLAタンパク(世界の人類をほぼ網羅)を用いた検討より、HLA-B62、HLA-B13、HLA-A32に対する特異的結合が示された。 2.MMRの生体における機能を知る為、MMR遺伝子をin vivoで欠損させた場合の移植免疫への影響や、生理的な役割を知ることを目的として、MMR2遺伝子破壊マウスを、C57BL/6近交系マウスとの10世代の戻し交配により樹立した。平成25年度の解析の結果、(1)MMR2KOマウスは胸腺、脾臓、腸間膜リンパ節、骨髄などの免疫組織の発達や、アロ・非アロの外来抗原に対する免疫反応(白血球混合試験、接触性皮膚炎反応)は、野生型と同程度で異常は見られなかった。(2)しかしながら、皮膚移植の結果(研究協力者:前田 省吾(本学 形成外科学)と実施)、MMR2KOマウスは野生型と異なり、MMR1・2のリガンドのアロMHC class Iを強制発現させたマウスの皮膚を拒絶出来なかった。以上の結果より、MMR分子(単球やマクロファージ)は、皮膚のアロ移植片の拒絶に重要である事が示唆された。これらの成果は英論文として学術雑誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の計画内のヒトやマウスのMMRの解析に関する計画の解析において、遅延が生じている。MMRの制御を確立する上で、MMRの生体における発現動態を知る必要があり、マウス(近交系、遺伝子改変マウスなど)やヒトの細胞から検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、以下に変更後の平成26年度の実験計画(昨年度の遅延した計画を含む)を示す。 ヒトやマウスのMMRの解析に関する計画:(1)MMRの生体における発現動態の解析:生体におけるMMRの役割を検討するため、マウス(近交系、遺伝子改変マウス)の組織や培養細胞やヒトの培養細胞を用いてMMRの発現動態をRT-PCR法、フローサイトメトリー法を用いて解析する。(2)遺伝子改変マウスの表現型解析:MMR発現とマウス生体の各部位において野生型マウスと比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の114,461円が生じた理由は、平成25年度に予定をしていた「ヒトやマウスのMMR1・MMR2の性質の解析に関する計画」の解析の検討において若干遅延が生じたため。 次年度使用額の114,461円については平成26年度の研究計画に組み込まれた実験系(1)(推進方策欄)に使用を予定している。また、平成26年度研究費の使用予定額については、実験系(1)・(2)(推進方策欄)の計画に対して次の通りに予定しており、内訳は、物品費として600,000円(細胞生物学実験の試薬消耗品・器具類・研究関連消耗品に100,000円、分子生物学実験の試薬消耗品・器具類・研究関連消耗品に450,000円、実験動物やその関連消耗品等に50,000円)、学会旅費として150,000円、その他(印刷費・研究成果投稿料等)として50,000円を予定している。
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Research Products
(3 results)