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2012 Fiscal Year Research-status Report

乳がん間質相互作用における線維芽細胞のER活性化に着目した新規治療標的の探索

Research Project

Project/Area Number 23791510
Research InstitutionResearch Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center

Principal Investigator

須田 哲司  埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), その他部局等, 研究員 (40423347)

Keywords癌間質線維芽細胞 / 乳癌 / 相互作用
Research Abstract

閉経後乳癌では、癌細胞周囲の間質線維芽細胞(CAF)がアロマターゼの発現によりエストロゲンを合成する。これにより、CAFはエストロゲン受容体(ER)活性化能を持ち、腫瘍細胞の増殖を局所的に刺激するため、CAFのアロマターゼが治療標的となる。しかし、多くのCAFはER活性化能が低く、CAFのアロマターゼ発現量とER活性化能は必ずしも相関しないため、癌間質相互作用には別の因子の関与が考えられる。そこで、この相互作用に関わる因子を明らかし、CAFによる腫瘍細胞の増殖シグナル経路の同定を目的とした。
当研究室で開発されたCAFのER活性化能を定量するERE-GFP法により、ER活性化能が明らかとなった乳癌患者由来CAF培養細胞と乳癌細胞株とを共培養し、培養液中に分泌されるサイトカインや増殖因子などの液性因子をアレイ解析おとびELISAにより定量した。その後、ER活性化能の高いCAFおよび低いCAFとの共培養下で産生量の異なる液性因子を解析した。その結果、ER活性化能の低いCAFとの共培養では複数のインターロイキンの産生が増加していることが明らかになった。これらのインターロイキンは組換えタンパクを用いた解析の結果、ER陽性乳癌細胞株のみならず、陰性株においても細胞の増殖促進が確認された。
これらの結果は腫瘍の増殖に関与しているシグナルカスケードを明らかにし、診断補助となり得るマーカー候補と治療標的となり得る分子の同定に有用な情報となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度実施した研究成果について、当該年度に英文雑誌に成果を報告すると共に、国内・国際学会において発表した。
平成24年度の実施を計画したCAFのエストロゲン受容体活性化能の違いが腫瘍細胞に与える影響の解析については、ER活性化能の低いCAFにおいて産生量の増加する因子を同定した。更に、この因子が乳癌細胞株の増殖促進機能を持つことを明らかにしており、一定の評価が出来ると思われる。
エストロゲン活性化能を含むCAFの性質の違いと腫瘍形成能との関連性の解析については、増殖速度が速く必要な細胞数に達した乳癌患者由来CAFについては乳癌細胞株とのマウス皮下共移植を終え、より生体内と近い状態の固形腫瘍を得ている。しかし、増殖速度の遅いCAFも多く、腫瘍形成能の違いの解析等に必要な母数に達することが困難と判断し、この解析で得られた固形腫瘍は研究目的に記載の病理組織学的解析に用いる。

Strategy for Future Research Activity

これまでの解析により、CAFから複数のインターロイキンが産生され、これらは癌細胞株の増殖促進に関わっていることが明らかになった。しかし、多岐にわたる複合的なサイトカインによる細胞内シグナルのどのカスケードを介して癌細胞が増殖しているのか明らかではない。また、この増殖促進機構がホルモン療法抵抗性に関わっているのかも不明のままである。そこで、抗エストロゲン剤とインターロイキン存在下での細胞増殖の解析から、ホルモン療法抵抗性との関連性を解析すると共に、その際に活性化する細胞内シグナルを明らかにし、診断補助となり得るマーカー候補や新たな治療標的となり得る分子を同定する。
また、CAFが産生するこれらのインターロイキンについて、平成24年度に作成したマウスxenograftや乳癌病理組織切片上における発現強度と局在を解析し、臨床病理学的所見や予後等との関連性を検討する。これにより、従来の腫瘍細胞の異型性とERなどの発現による診断に加えて、CAFおよびCAFを介した増殖因子を指標とした診断補助の有用性についても検討し、成果を報告する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該年度の購入を予定していた病理組織学的解析に必要な機器および付随する消耗品は研究推進方策の一部変更に伴い次年度の使用を計画している。また、それに伴って必要な抗体等の試薬および消耗品の購入を計画している。サイトカインによる細胞内動態の解析のため分子生物学試薬・消耗品の他、細胞培養に必要な消耗品の購入を計画している。次年度は研究成果の報告を予定しており、それに伴う英文校正委託費用や製本印刷費用等が必要となる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] ER-activating ability of breast cancer stromal fibroblasts is regulated independently of alteration of TP53 and PTEN tumor suppressor genes.2012

    • Author(s)
      Suda T, Oba H, Takei H, Kurosumi M, Hayashi S, Yamaguchi Y.
    • Journal Title

      Biochem Biophys Res Commun.

      Volume: 428 Pages: 259-263

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2012.10.035.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ER活性化能の異なる乳癌間質線維芽細胞が構築する癌微小環境の解析2012

    • Author(s)
      須田哲司、清野祐子、黒住献、武井寛幸、黒住昌史、林慎一、山口ゆり
    • Organizer
      第71回日本癌学会学術総会
    • Place of Presentation
      札幌
    • Year and Date
      2012-09-19
  • [Presentation] Tumor Microenvironment Regulated by Carcinoma-associated Fibroblasts with Different ER-activating Abilities

    • Author(s)
      Tetsuji Suda, Yuko Seino, Sasagu Kurozumi, Hiroyuki Takei, Masafumi Kurosumi, Shin-ichi Hayashi, Yuri Yamaguchi.
    • Organizer
      15th International Congress on Hormonal Steroids and Hormones & Cancer
    • Place of Presentation
      金沢

URL: 

Published: 2014-07-24  

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