2013 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん間質相互作用における線維芽細胞のER活性化に着目した新規治療標的の探索
Project/Area Number |
23791510
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
須田 哲司 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40423347)
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Keywords | 癌間質線維芽細胞 / 乳癌 / 相互作用 |
Research Abstract |
これまでの解析から、癌細胞周囲の間質線維芽細胞(CAF)はアロマターゼの発現によりエストロゲン合成能およびエストロゲン受容体(ER)活性化能を持つことが示されている。しかし、ER活性化能の低いCAFも多く、CAFのアロマターゼ発現量とER活性化能とは必ずしも相関しなかった。このことから、癌間質相互作用に別の因子の関与が考えられたため、我々はCAFから分泌されるサイトカインなど液性因子に着目して解析してきた。ER活性化能が明らかな乳癌患者由来CAF培養細胞と乳癌細胞株との共培養実験による、培養液中に分泌される液性因子の解析では、ER活性化能の低いCAFとの共培養下で複数のインターロイキン(ILs)の産生が増加した。これらのILsは組換えタンパクを用いた解析により、ER陽性乳癌細胞株のみならず、陰性株においても細胞の増殖促進が確認されたため、本年度はこのシグナルカスケードを明らかにすることを目的とした。ER陽性・陰性それぞれの乳癌細胞株に対し、これらのILsを添加した結果、ER陰性乳癌細胞株においてMAPKカスケードタンパクの活性化が確認され、当該カスケードが診断補助のマーカー候補となり得ることが示唆された。 また、癌細胞に対するCAFの短期的な作用だけではなく長期的な相互作用の影響を明らかにするため、CAFをstimulatorとして乳癌細胞株と長期共培養し、癌細胞のタンパク発現変化をPhospho Antibody Arrayにより解析した。その結果、癌細胞はCAFによってILs下流のシグナルタンパクのみならず、細胞の遊走や浸潤に関わるタンパクも活性化されていることが明らかになった。これらの結果は、微小環境によって癌細胞の性質が変化するメカニズムの解明へと発展できる。
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Research Products
(1 results)