2012 Fiscal Year Annual Research Report
阻血障害肝切除後の転写因子活性抑制に伴う肝再生遅延機序へのPin1の関与の検討
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23791516
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久保木 知 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50571410)
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Keywords | 肝臓外科学 / 術後肝再生 |
Research Abstract |
高度阻血障害肝細胞におけるCXC chemokine等の肝細胞増殖促進因子に対する不応性発現機序を、マウス正常肝細胞のcell lineであるAML-12 cellを用いてin vitroにて検討した。 CXC chemokine投与により、用量依存性に肝細胞増殖シグナルは亢進した。また、その増殖シグナルはCXCR1&2 inhibitorであるrepertaxinや、NF-kB inhibitorであるBAY11-7085により抑制された。次にH2O2刺激により酸化ストレス障害肝細胞モデルを作成し、CXC chemokineによる肝細胞増殖シグナルを検討したところ、障害の程度に応じて増殖シグナルは抑制された。また、高度障害肝細胞では CXC chemokine投与による肝細胞増殖シグナルは消失した。肝細胞障害の程度に応じて、Pin1発現は低下し、それに伴いPin1- NF-kB-p65複合体形成及び NF-kB活性は抑制された。さらには、Pin1 inhibitorであるJuglone投与により、用量依存性に NF-kB活性は抑制された。 また、Pin1によるNF-kB活性亢進の機序は癌でも成り立つとの予測のもと、HCC cell lineであるHep G2 cellをPin1 inhibitorであるJugloneで刺激すると、用量依存性に NF-kB活性は抑制され、それに伴い腫瘍細胞増殖も抑制された。 以上より、高度障害肝における肝細胞増殖促進因子に対する不応性発現に伴う肝切除後の肝再生抑制の原因として、Pin1発現低下による NF-kB活性抑制が考えられ、拡大肝切除術後や肝移植術後において肝細胞内のPin1発現を維持することが、術後肝不全を予防するための有用な治療法となり得る。
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Research Products
(4 results)