2011 Fiscal Year Research-status Report
超音波エラストグラフィーによる新しい肝疾患診断法の確立
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23791519
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 陽介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50597747)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | elastography / 肝線維化 / 肝癌 / 腹腔鏡下手術 / 触診 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超音波エラストグラフィー(RTE)を用いた肝疾患の診断技術を開発、発展させ、迅速かつ(1)非侵襲的な肝腫瘍の存在診断、質的診断はもとより、(2)従来肝生検でのみ診断可能であった慢性肝炎進行度、肝硬変の有無、(3)肝移植後グラフトの拒絶診断を代替できるようにする。また肝臓外科手術でその頻度が増加している腹腔鏡下肝切除術では、肝に対する触診が不可能であるが、(4)腹腔鏡用エラストグラフィープローべを用いて術中診断技術を向上させ、腹腔鏡下手術における疑似触診を実現する。の4点である。(1)については、2012.3月時点で、症例登録120例まで完了し、現在までのデータをまとめて、検討し、RTEを用いた腫瘤性病変の診断基準を策定中である。(2)については、2012.3月時点で、症例登録52例まで完了し、24年度中に目標である150例の登録が可能となる見込みである。(3)については、2012.3月時点では、倫理委員会申請準備中である。24年度中の症例登録開始を目指す。(4)については、2012.3月時点で、4例、6病変に対する症例登録が完了している。(1)(4)の成果により、従来人の手によってなされていた触診を、より客観的かつ再現性に優れた「超音波による擬似触診」で代替し、触診が困難な状況(肝深部や鏡視下手術中)でも、触診と同等以上の診断が実現する。(2)は、肝の線維化化をRTEで評価するためのアルゴリズムが目標であり、これが肝生検よりも優れていることが証明できれば、今後侵襲的な肝生検に代替する診断法として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)は、すでに120例のデータを下に、研究成果を解析中であり、24年度中の論文発表、学会発表が見込まれている。(2)も、24年度中に目標症例数が達成可能であり、中間解析の結果も24年度後半に学会報告が見込める。(3)は、症例登録を開始するのが目標である。(4)も、症例登録は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)診断アルゴリズムを考案、発表し、さらにそれにのっとったvalidation studyを継続して、自己評価を行う。(2)は、目標症例数の半分(75例)まで、データ採取した時点で仮解析を行い、問題点があれば軌道修正する形でさらに継続する。(3)は、倫理委員会承認を得て、症例登録を開始するのが目標である。(4)は、腹腔鏡下手術での肝臓エコーの手法に試験担当者がまだ不慣れであり、適切なデータ収集に課題が多いため、海外の鏡視下手術専門施設にエコー法の研修に行き、データ採取法を検討、制定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)の現時点での成果を、国内学会2回(5月超音波医学会、10月JDDW)、国際学会(4月 ILS2012、7月IHPBA 2012)で発表予定であり、その旅費に使用する(見込み1,200,000円)。また、3編の英語論文を執筆中であり、これらの英文校正費に使用する(見込み300,000円)(4)については、現時点で腹腔鏡下の肝臓エコーの手法にまだ課題が多いため、海外の鏡視下手術専門施設にエコー法の研修に行き、データ採取法を検討、制定する予定であり、その旅費に使用する(2012.5月1-16日 見込み600,000円)また、データ採取の場である手術室に持ち込み、画像データの表示や、データ入力、整理を行う目的でノート型PCおよびタブレットの購入を検討中である(見込み300,000円)(2)における、検体採取用の生検針、血清学的バイオマーカー測定費としても残額を可能な限り充てる。
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