2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA網羅的解析を用いた胃癌腹膜播種転移の分子機構解明と新規治療法開発
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23791525
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥川 喜永 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30555545)
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Keywords | 胃癌 / 腹膜播種 / microRNA |
Research Abstract |
消化器癌転移機構の解明と克服法の確立は生命予後改善に大きく貢献する。癌細胞原発巣からの遊離、転移巣での接着、浸潤と増殖、血管新生の各過程に多数の転移促進・抑制分子群が関与している。これには癌細胞側で異常が認められる細胞接着・運動や増殖等の制御分子群だけでなく、転移臓器に特異的な微小環境条件が存在し癌細胞の臓器選択性と親和性を規定する分子群が想定されるが未解明な部分が多い。そこで本研究では、癌転移、とりわけ胃癌腹膜播種転移の分子シグナル機構の解明を目的として腹膜播種高発現胃癌細胞株と胃癌同時性腹膜播種を認めたhuman clinical sampleを中心としたmiRNA解析とcDNA発現解析により癌転移の臓器特異的なシグナル分子を同定することを目的とする。胃癌にて当院で切除された摘出標本99例から胃癌組織と正常組織から胃癌組織におけるmiR-151-5p発現解析を行ったところ、臨床病理学的因子では、腹膜播種群と有意な相関(p<0.01)を示し、発現高値群で生存率の低下(p<0.001)を認めた。比例ハザードモデルによる多変量解析でも、腹膜播種とともに、 miR151-5p高発現が独立予後規定因子(p<0.001)を示した。miR-151-5p発現を認めたMKN45, MKN74の2細胞株を使用し、Anti-miRを用いてsiRNA transfectionを行ったところ、miR-151-5p発現抑制が増殖能、浸潤能を有意に抑制していることが確認された。現在、さらなる機能解析を行っているほか、その標的となる遺伝子解析を今後予定している。またその過程であらたなメカニズムとして、Brain derived neurotrophic factor/tropomyosin-related kinase B pathwayが腹膜播種転移形成に深く関与する可能性があることを報告している。
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Research Products
(3 results)