2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝虚血再灌流障害における新しいメカニズムの解明―T細胞の役割について―
Project/Area Number |
23791527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 洋一朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30597745)
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 肝臓 / Galectin-9 / TIM / T細胞 / TLR-4 / 肝移植 |
Research Abstract |
本研究は、肝虚血再灌流障害におけるT細胞による制御機構をTIM(T cell Immunoglobulin Mucin)分子であるTIM-1およびTIM-3に焦点をおき、TIM-1のリガンドであるTIM-4、TIM-3のリガンドであるGalectin-9(Gal-9)に着目して解明を行っている。 初年度の成果は、上記マウスモデル作成の安定と当研究室におけるGal-9の精製であった。昨年度は、上記モデルに対して精製Gal-9投与による実験を行ったが、我々が精製したGal-9は不安定型であることが判明し、十分な解析が行えなかった。安定型Gal-9を入手できたことより、同様のモデルを再作成した所、安定型Gal-9投与群で非投与群に比べて有意に肝障害が軽減され、TIM-3/Gal-9経路が重要な働きを担うことがin vivo実験で示唆された。 今年度は、同モデルにおいて各種投与タイミングおよび投与量の検討を行った。虚血前だけではなく再灌流後の投与であってもGal-9投与群において肝障害が有意に軽減された。サイトカイン(IL-6、IFN-γなど)測定により、それらの発現が投与群で有意な軽減を認め、Gal-9によるT細胞活性化の抑制効果が考えられた。肝組織における免疫染色(TUNEL染色)では、アポトーシス誘導が抑制され、虚血再灌流障害に起因する細胞死誘導の抑制が判明した。 現在は、フローサイトメトリーで、活性化T細胞上のTIM-3発現の程度ならびにGal-9投与によるTIM-3活性の抑制の有無につきin vitroで検討中であり、実際の肝組織中のGal-9発現量をwestern blotにて測定している。 肝虚血再灌流障害において、Gal-9はTIM-3を介したinteractionにより障害をコントロールし、肝障害の軽減に寄与する可能性が示唆された。加えて、我々のデータは、Gal-9には肝保護効果を十分に発揮できる働きがあり、その臨床応用への礎が築かれたものと考えている。
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