2011 Fiscal Year Research-status Report
肺切除術が骨髄由来細胞を介して代償性肺再生、創傷治癒に影響する機序の解明
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23791571
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Research Institution | National Hospital Organization,Yamaguchi - Ube Medical Center |
Principal Investigator |
田中 俊樹 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (50457305)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 骨髄由来幹細胞 |
Research Abstract |
本年度は肺切除が骨髄由来幹細胞を介して創傷治癒に関与しているか否かを検証した。C57BL/6マウスに対して左肺全摘術を行い、骨髄由来幹細胞(BMSC)であるc-kit陽性細胞は術後24時間で有意に増加していた(P<0.05)。続いて、GFP骨髄キメラマウスを作製し、その8週間後に左肺全摘術を行った。左肺全摘を行った群をSurgery群、開胸のみを行った群をSham群とし、創傷治癒モデルとしてマウスの背部に3mm大の円形皮膚切除を行った。BMSC集積阻害薬であるAMD3100を投与したものと、対照としてPBSを手術前後に合計3回の腹腔内注射を行った。創面積を隔日で測定し、術後3・7・14日目に創部を採取し、組織学的評価を行った。術後3日目に創部に集積したBMSCはSurgery+PBS群はSham+PBS群と比較して有意に増加し(P<0.05)、Surgery+AMD群はBMSCの集積が阻害されていた(P<0.05)。創面積に関しては、Surgery+PBS群は手術後3日目に他の群と比較して有意に縮小していた(P<0.05)。創傷治癒に関与する線維化に関わる筋線維芽細胞をαSMA陽性細胞、血管新生に関わる血管内皮細胞をCD31陽性細胞として評価したところ、術後14日目においてBMSCが各々の細胞に分化していた。今回の研究では、左肺全摘術により末梢血中に動員されたBMSCが創部に集積し、術後早期の創面積の縮小・創間距離の短縮に寄与したことがわかった。そのメカニズムとしては、BMSCが筋線維芽細胞や血管内皮細胞に分化した可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創傷治癒に関しての実験は終了し、代償性肺再生の実験を開始している
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究は、肺切除後の代償性肺再生時に骨髄由来肝細胞が関与するか否かを解明することを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)骨髄由来細胞の残存肺に対する集積についてケモカインの同定、並びに残存肺へのGFP陽性細胞の集積の有無について評価する。2)CXCR4拮抗薬であるAMD3100を用いて、骨髄由来幹細胞の肺への集積を抑制し、残存肺の肺重量測定、代償性肺成長に関わる因子を組織学的に評価する。
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