2012 Fiscal Year Annual Research Report
肺切除術が骨髄由来細胞を介して代償性肺再生、創傷治癒に影響する機序の解明
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23791571
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構山ロ宇部医療センター |
Principal Investigator |
田中 俊樹 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (50457305)
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Keywords | 代償性肺再生 / 骨髄細胞 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
C57BL/6マウスを用いて左肺全摘により残存肺に代償性肺成長を誘導した。左肺全摘後7日目の残存肺において肺胞壁面積や肺胞密度に有意な変化を認めなかったが、肺乾燥重量比、肺容量比、肺湿乾重量比の有意な増加を認めた。術後7日目の代償性肺成長肺の組織変化として、肺実質の増加、肺胞密度の上昇、肺浮腫が示唆された。GFP陽性骨髄細胞を移植した骨髄キメラマウスを用いて代償性肺成長時のGFP陽性細胞の関与を評価した。左肺全摘により残存肺へのGFP陽性細胞の集積増加を認めた(Sham開胸と比して2.1倍,P=0.001)。それらのGFP陽性細胞のうち、肺胞上皮細胞様に形態変化しているものが有意に集積をしていた(P<0.0001)。左肺全摘後の残存肺組織内のSDF-1α濃度を経時的に測定したところ、左肺全摘後7日目の残存肺のSDF1α濃度はSham開胸群と比べ1.4倍に上昇した(P<0.05)。骨髄由来細胞の残存肺への集積抑制の目的にCXCR4アンタゴニスト(AMD3100)を術後7日目まで持続投与し、代償性肺成長に対する影響を評価した。投与(AMD3100持続投与)すると、骨髄由来細胞の集積が有意に抑制された(P<0.05)。また投与群は非投与群(PBS持続投与)と比較すると、術後14日目での肺乾燥重量比が10%の低下することを認めた(P<0.05)。今回の研究では、集積した骨髄由来細胞は、肺胞上皮細胞、血管内皮に分化する、もしくは骨髄由来細胞によるパラクライン効果により、肺組織再生に寄与していることが推測される結果であった。また、代償性肺成長肺には肺損傷の機序が存在することが推測され、骨髄由来細胞は代償性肺成長時の残存肺に集積し組織修復に関与している可能性も考えられた。
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