2012 Fiscal Year Research-status Report
移植片拒絶応答におけるインターロイキン17の機能解析
Project/Area Number |
23791573
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 智 自治医科大学, 医学部, 助教 (30382881)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、IL-17がどのような分子機構で移植片の拒絶応答の際、急性期炎症を誘導し、拒絶を促進するのか、分子・細胞・個体レベルでの解析で明らかにすることを目的とした。本研究の具体的な達成目標は以下の2点である(1)移植心の急性期拒絶応答におけるIL-17およびIL-17Fの役割の解明(2)移植心の急性期拒絶応答におけるIL-17およびIL-17F産生細胞の同定。前年度に得られた(1)の研究成果は、急性拒絶応答を促進していることを示した。今年度に得られた(2)に関しての研究成果を報告する。 IL-17の産生細胞は(1)の解析結果より同定され産生細胞(CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、γδT細胞)の同定後は、その細胞が産生するIL-17が移植片の拒絶に関与しているかどうかを、adoptive transfer法を利用して評価を行った。C57BL/6背景のRag-2欠損マウス(T/B細胞欠損)に、C57BL/6野生型あるいはIL-17欠損マウスのTCRα/β+ T細胞を移入した。このマウスにFVBマウスの心臓を移植し、生着率を評価した。その結果、IL-17陽性細胞として、少数のCD4陽性細胞、CD8陽性細胞、そしてγδT細胞が検出され、主要なIL-17陽性細胞はγδT細胞であることが明らかになった。adoptive transfer法よりCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞が産生するIL-17は、移植心の急性拒絶反応の誘導には必須ではないことが明らかになった。当初の計画では、γδT細胞の関与を評価するため、IL-17欠損マウスに、C57BL/6野生型、IL-17欠損マウスのTCRγδ+ T細胞を移入した後に、生着率を評価する実験を計画していた。しかしγδT細胞の十分な細胞数抽出が困難であったため、計画を変更し、γδT細胞欠損マウスを使用し解析を次年度行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3カ年計画で行う予定である。本研究の具体的な達成目標は以下の2点である。(1)移植心の急性期拒絶応答におけるIL-17およびIL-17Fの役割の解明(2)移植心の急性期拒絶応答におけるIL-17およびIL-17F産生細胞の同定。 23年度より現在まで(1)および(2)の一部を行い、研究成果が得られ、25年度より(2)の残りを実験方法を変更し行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の具体的な達成目標は以下の2点である。(1)移植心の急性期拒絶応答におけるIL-17およびIL-17Fの役割の解明(2)移植心の急性期拒絶応答におけるIL-17およびIL-17F産生細胞の同定。23年度より(1)を行い、研究成果を報告した(Itoh S et al. Circulation 2011)。24年度より(2)を研究実施計画に沿って行い、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、γδT細胞がIL-17産生細胞産生と確認された。adoptive transfer 法の実験では、CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞が産生するIL-17は、移植心の急性拒絶反応の誘導には必須ではないことが明らかになった。ただしγδT細胞の十分な細胞数抽出が困難であったため、計画を変更し、γδT細胞欠損マウスを使用し解析を行うこととした。このため、解析と論文の投稿は、次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究を行う。
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[Journal Article] Potential role of γδ T cell-derived IL-17 in acute cardiac allograft rejection.2012
Author(s)
Kimura N, Nakae S, Itoh S, Merk DR, Wang X, Gong Y, Okamura H, Chang PA, Adachi H, Robbins RC, Fischbein MP.
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Journal Title
Ann Thorac Surg
Volume: 94(2)
Pages: 542-8
DOI
Peer Reviewed
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