2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791579
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
川島 友和 東邦大学, 医学部, 講師 (00328402)
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Keywords | 米国 / 心臓神経 / 刺激伝導系 / 臨床解剖 / 画像解剖 / 比較解剖 |
Research Abstract |
本年度は、心臓弁膜症の中でも最も頻度の多い大動脈弁疾患(例えば大動脈弁狭窄症)に対する患者QOL向上の為の機能温存術式検討のために臨床解剖学的検討を中心に行った。我が国では、近年一部の施設のみ試験的に開始された内科的径カテーテル大動脈弁埋込み術(TAVI)と従来から施行されている外科的大動脈弁置換術(SAVR)のどちらが優れているのかといった議論がなされている。そのため、それぞれの利点と欠点について、解剖学的見地より検証を行った。その結果、(1)SAVRでは特に大動脈弁へのアプローチとして上行大動脈を横切開もしくは斜切開を行うが、この部位での心臓神経叢の多様性からできるだけ外側部において斜切開で行う事が望ましく、動脈間溝へかかる切開は避けるべきである。(2)TAVIにおいては、人工弁置換部での伝導障害防止のために刺激伝導系の標準的位置とその多様性について解析した。実際は伝承障害を防止することは解剖学的位置関係から難しいという結果を得た。これらの一部の結果を学会にて発表を行った。現在、論文として発表するために追加データを収集しているところである。さらには、弁膜症の中では頻度はそれほど多くはないが、三尖弁形成術における機能温存のための臨床解剖学的解析もスタートさせた。 また、従来から蓄積されている実験動物データをヒトへ応用するための橋渡しデータとしての心臓神経の系統発生学的データの収集も行い、その一部を論文として発表した(Kawashima and Sato, 2012)。この結果は、他の体性神経系とは異なり、心臓自律神経系は比較的保守的な構造物であることを示し、ラットやマウスなどの齧歯類実験動物の動物実験データを著しく異なる形態を有するヒトへ応用するためには、分子系統発生学的データが示すようにその移行的形態を示す霊長類の進化形態データが有用である事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、弁膜症の中でも最も頻度の高い大動脈弁弁膜症のための臨床解剖学的検討を精力的に行い、その一部について学会発表することができた。その過程において、論文として結果をまとめるに不足しているデータや本研究の意義について検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を行う事で十分な成果が得られる事が期待されるため、大きな変更はありません。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の予算から次年度へ749,402円の繰越し予定でありますが、実際には2012年2月28日から3月31日まで米国にて海外出張を行っております。その予定額は503,968円であり、現在手続き中でありますので、実際の繰越額はそれを差し引いた245,434円であります。この未使用額は、海外でのCT画像撮影代が予定より安く行う事ができたことと、発表論文代の請求処理中などの理由に依るためです。その繰越額と次年度支給額を使用し、CTやMRIなど高額な画像撮影も予定通り研究を行いたいと思います。
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Research Products
(4 results)