2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791580
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
重松 義紀 産業医科大学, 医学部, 助教 (10546469)
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Keywords | 肺癌 / 腫瘍免疫 / 免疫逃避機構 / 制御性T細胞 / TGF-β / Foxp3 / 所属リンパ節 |
Research Abstract |
肺癌の免疫逃避機構の解明を行うため、肺癌患者における腫瘍内、所属リンパ節や、末梢血リンパ球の制御性T細胞(Treg)の発現を検出する系を確立することを目的に研究を行った。非小細胞肺癌患者における手術検体(176例)の所属リンパ節および末梢血リンパ球を用いて、細胞内FACSにてTregを検出した。Tregの比率は、リンパ節において、末梢血リンパ球よりも有意に高頻度であった。リンパ節リンパ球においてCD4陽性細胞の中のTregの割合が1%より低い群を低値群、1%以上を高値群とした場合、5年生存率は低値群で84.4%高値群63.5%であり、有意に高値群の予後が不良であった。病理病期I期においても、5年生存率は低値群で91.4%高値群84.8%であり、高値群の予後が有意に不良であることを明らかとした。 また、非小細胞肺癌403例を対象とし,抗HLA class I抗体を用いてHLA class I分子の発現を疫組織化学染色にて、癌精巣抗原(KK-LC-1,MAGE-A3,MAGE-A4)の発現をRT-PCR法にて解析し、その相互の臨床病理学的関係を明らかにした。HLA class Iの発現における5年生存率は正常発現76.6%,低発現65.9%、重度低発現76.1%であり、正常発現に比べ,低発現では予後不良であった。一方、癌精巣抗原の発現率は、それぞれKK-LC-1、MAGE-A3、MAGE-A4において32.6%、23.8%、20.1%であった。癌精巣抗原の陽性例において、HLA class I正常発現例よりも低発現症例は予後不良であった。非小細胞肺癌におけるHLA class I分子の発現異常は、癌特異的免疫療法を行う上で重要な課題である。癌抗原を標的とした免疫療法を行う場合、HLA発現異常例については、HLA遺伝子の導入などによるHLA分子の発現回復などを考慮する必要がある。
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