2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞分裂因子USP54スプライシングバリアントによるグリオーマ悪性化機構の解明
Project/Area Number |
23791591
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷川 仁紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10454381)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | USP54 / 脱ユビキチン化酵素 / グリオーマ / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
本研究は、Ubiquitin specific peptidase54(USP54)の異常なスプライシングバリアントによるグリオーマの悪性化機構を明らかにしようと試みるものである。USP54は脱ユビキン化酵素の一種であり、その細胞内における役割は全く明らかとなっていない。我々は別のスクリーニングによって、このUSP54が細胞質分裂に重要な役割を果たすことを明らかにしている。我々は、まずUSP54の細胞内における基礎的な解析を開始した。 USP54はCYS、QQD、His領域からなる脱ユビキン活性領域(UCH domain)とESCRT タンパク質であるCHAMPと結合するMIT領域から構成される。USP54の細胞内局在に重要な領域を明らかにするために、各領域をディリーションしたミュータントを作製した。各ディリーションミュータントの局在から、CYS領域が細胞内局在に重要な役割を果たすことを明らかにした。また、USP54の結合蛋白質をイーストツーハイブリッド法により網羅的に解析したところ、YWHAEタンパク質がその結合蛋白質として同定された。その結合領域を明らかにしたところ、USP54のCYS領域にて結合することがわかった。以上の結果より、USP54は細胞内においてアダプタータンパク質であるYWHAEを介して、局在していると考えられる。 一方で、脱ユビキチン化酵素の一種であるUSP54の活性を調べたところ、活性を有しないことが明らかとなった。よってUSP54は、細胞内においてYWHAEを介して局在し、他の標的蛋白質と結合することで脱ユビキチン化から保護するのではないかと推測している。このような機構は他に報告がなく、今後はその標的たんぱくの特定を含めて詳細な機能解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的に挙げたように、USP54の基礎的な解析についてはおおむね順調に進行している。特に、USP54の機能性領域の特定や結合蛋白質を特定することで、その基本的な役割の解明を進めている。また、USP54のスプライシングバリアントについて、グリオーマの細胞株で解析を進めているところである。現在、一部の領域が付加されたバリアントの特定に至っているが、さらなる解析を進めているところである。以上の解析が終了してから、すぐに臨床サンプルの解析に入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、特異的なスプライシングバリアントの特定を行っており、その結果をもとに臨床サンプルの解析を行う。またこのスプライシングバリアントがもたらす影響について、例えば細胞分裂の異常や、浸潤能、増殖能に与える影響などについて解析を行う予定である。それらの結果を受けて、最終的にUSP54スプライシングバリアントを発現させたグリオーマ細胞株を用いて生体における増殖、浸潤能の解析をマウスモデルにより検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下に挙げる品目について経費を使用する予定である。・細胞培養試薬、器具一式・動物実験に必要なマウス、飼育費用・組み換えDNA実験に必要な関連試薬一式
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