2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂因子USP54スプライシングバリアントによるグリオーマ悪性化機構の解明
Project/Area Number |
23791591
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷川 仁紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10454381)
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Keywords | グリオーマ / 細胞分裂 / 細胞周期 / 脱ユビキチン化酵素 |
Research Abstract |
グリオーマでは高い増殖能と浸潤能をもたらすような異常なスプライシングバリアントの存在が注目されており、エクソンアレイなどによってその詳細が次々に明らかになりつつある。その中の一つに脱ユビキチン化酵素タンパク質であるUSP54がある。当初、我々は発現抑制によって分裂異常を誘導する遺伝子として注目し、解析を進めていた。一方で、グリオーマにおいてUSP54の異常なバリアントの存在が明らかとなった。我々は細胞分裂に重要なタンパク質であるUSP54がグリオーマの悪性化に何らかの影響を与えている可能性を推測した。そこで、まず未知のタンパク質であるUSP54の詳細な機能解析を行い、それに基づいてグリオーマにおける異常なバリアントの存在とその悪性化に及ぼす影響について解析を進めることとした。前年度に引き続き、USP54の機能解析を行った。GFP-USP54の局在を調べた結果、細胞間に点状に局在することが分かった。また、それは現在報告されている細胞間接着因子の中でもZO-1と共局在することが分かった。さらに、USP54の発現を抑制するとZO-1の発現が低下し、その局在も不均一な状態になることから、USP54は細胞間接着においても重要な働きをしていることが想定される。また、グリオーマにおけるUSP54の機能について解析を行った。各細胞株において、USP54の発現をウェスタンブロッティングにより確認したところ、それぞれ発現が確認されたが、それとは別にバリアントが存在することが明らかとなった。このバリアントを強制発現させると、細胞形態の異常や分裂の異常が観察されたが、悪性化を示すようなデータは得られなかった。さらに、臨床サンプルのデータからも悪性度と発現に強い因果関係は得られなかった。
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