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2011 Fiscal Year Research-status Report

デバイスを用いた治療と再生医療の融合-白金コイルによる脳動脈瘤治療をモデルに-

Research Project

Project/Area Number 23791594
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

戸田 満秋  関西大学, 化学生命工学部, 特別任用助教 (50588267)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords生体材料 / 移植・再生医療 / 血管内治療デバイス / 脳動脈瘤
Research Abstract

本研究では白金コイルと低分子薬剤を複合化した新規脳動脈瘤治療用デバイスの開発を行い,当該デバイスを用いた治療と再生医療の融合を目指している.これまでに細胞増殖因子などのタンパクを付着させたコイルが再開通防止に有効であるとの報告を行ってきたが,これらのコイルでは滅菌が困難であり保存安定性についても難点が多い.近年心臓冠状動脈の狭窄の治療で薬とデバイスの複合体であるドラッグ・エルーティング・ステント(DES)が認可され,薬とデバイスの複合体の認可の道が開けた.よって本研究ではDESの成功例に倣い既に治療に多く使われてきた低分子薬物と従来のコイルを複合化することが肝要であると考えた.この目的を具現化するドラッグ・エルーティング・コイル試作に向け,昨年度はまず動脈瘤内の再開通の予防効果のある薬物の選定を行った.実施計画において候補として挙げていた薬剤について文献等による検討および入手性や取り扱いの容易さ,またコスト等を勘案し,本課題においては高コレステロール血症の治療薬として用いられているスタチン類を,コイルに担持する薬剤として用いることが適当であるという結論に至り,コイル表面にスタチン類をそのまま塗布乾燥により担持せしめ,ラット動脈瘤モデルを用いた評価で良好な結果を得た.またコイル表面への担持法の検討手法として,白金モデル表面を用いて蛍光顕微鏡,表面プラズモン共鳴法,表面プラズモン励起蛍光分析による解析を試みた.結果それぞれの解析方法を組み合わせることでコイル表面へのスタチン類など低分子薬剤の担持の検討に有益な知見を得られ,ラット動脈瘤モデル以外の評価系を確立することができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

実施計画に挙げた平成23年度に検討する課題のうち,再開通の予防効果のある薬物の選定はおおむね予定通りに進行し,高コレステロール血症の治療薬であるスタチン類が適当である結論をもとに,コイル表面にスタチン類をそのまま塗布乾燥により担持せしめ,ラット動脈瘤モデルを用いた評価で良好な結果を得た.薬剤担持法及びその評価方法については他の知見なども参考に一部平成24年度に予定していた検討項目の前倒しを行い,良好な結果を得ることができた.しかし,担持後の滅菌法については,試作コイル種別数に対しガンマ線滅菌等の外注コストが想定以上に高価になり検討に着手できなかった.再開通の予防機序の解明については当初想定以上に分子生物学的および細胞生物学的に広範な検討と知見の集積が必要であるとの結論に至った.以上を勘案すると,主たる目的に付随して解明することを目指していた再開通の予防機序については芳しくないものの,本研究課題における最終目標である白金コイルと低分子薬剤を複合化した新規脳動脈瘤治療用デバイスであるドラッグ・エルーティング・コイルの開発についてはおおむね順調に進展していると考える.

Strategy for Future Research Activity

平成24年度においては,実施計画にある通り,臨床用器具での使用を想定したドラッグ・エルーティング・コイルの試作を行う予定である.素材においても実施計画に記載した血液と接触する部位に用いられている実績のある高分子素材のほかに,ドラッグデリバリシステムで使用実績が蓄積されてきたリポソーム膜を用いた担持方法の検討を行う予定である.得た知見を駆使し,速やかに臨床応用にたどり着けるドラッグ・エルーティング・コイルの試作を行いたいと考えている.また,実施計画にある通り,ウサギ総頚動脈を閉塞の上,エラスターゼを用いて血管壁を破壊し,より実際の動脈瘤に近い動脈瘤モデルを作成し,実際に臨床で用いられているコイルデリバリシステムに作製した試作ドラッグ・エルーティング・コイルを載せ,前記動脈瘤モデルを塞栓しうるかを検討・評価する予定である.また平成23年度に着手できなかったコイルの滅菌手法の評価を行い,作製したコイルの保存安定性の検討も平成24年度に行う予定である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度においては,当初予定していた担持後の滅菌法について,特にガンマ線滅菌等の検討に着手できなかったこと,再開通の予防機序の解明について分子生物学的および細胞生物学的に想定以上に広範な検討と知見の集積が必要であるとの認識から,再開通の予防効果のある薬物の選定と薬剤担持法及びその評価方法の開発を優先させたため,結果当初予定より研究費の支出がおされられたため研究費の次年度繰越に至った.よって平成24年度においてはコイルの滅菌手法の評価を行い,作製したコイルの保存安定性の検討を行うため研究費を執行する予定である.また臨床用器具での使用を想定したドラッグ・エルーティング・コイルの試作を行うため,その素材となる白金コイル,担持するスタチン類の低分子薬剤,およびデリバリシステム等の購入に研究費の1/3程度を充てる予定である.さらに継続してラット動脈瘤モデルによる評価及び実施計画にある通りウサギ総頚動脈を閉塞の上エラスターゼを用いて血管壁を破壊しより実際の動脈瘤に近い動脈瘤モデルを作成することを予定しているため,それら動物実験に必要な実験動物やその手術に必要な消耗品について購入に1/3程度の充てる予定である.また平成23年度に動物実験以外にコイル表面への担持方法の検討と行いうることを見出したため,この検討のための研究消耗品(ガラス基板など),その他研究を遂行するに当たり必要な実験消耗品に使用する予定である.最後に実施計画に示した通り,この研究課題で得られた成果について発表するため,学会発表を国内2件程度および海外1件を予定し,その諸費用と論文投稿のために研究費を使用する予定である.

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Prototype of a surface plasmon field-enhanced fluorescence spectroscopy apparatus with a condensed optical system2012

    • Author(s)
      Toda, Mitsuaki; Arima, Yusuke; Iwata, Hiroo
    • Organizer
      5th International Symposium on Nanomedicine (ISNM2012)
    • Place of Presentation
      Nagoya University ES Hall, Nagoya, Japan
    • Year and Date
      March 16, 2012
  • [Presentation] Quantitative Measurement of Alpha-Fetoprotein and Prostate Specific Antigen using Surface Plasmon Field Enhanced Fluorescence Spectroscopy2011

    • Author(s)
      Toda, Mitsuaki; Arima, Yusuke; Iwata, Hiroo
    • Organizer
      3rd Asian Biomaterials Congress
    • Place of Presentation
      BEXCO Busan, Korea.
    • Year and Date
      Sep. 17, 2011
  • [Presentation] 表面プラズモン場励起蛍光法を用いたバイオマーカーの高感度検出の試み2011

    • Author(s)
      戸田 満秋, 有馬 祐介, 岩田 博夫
    • Organizer
      第21回バイオ・高分子シンポジウム
    • Place of Presentation
      関西大学千里山キャンパス 100周年記念会館ホール2(大阪府吹田市)
    • Year and Date
      2011年7月26日
  • [Presentation] 集光光路を用いた表面プラズモン励起蛍光装置によるα-フェトプロテインの高感度計測の試み2011

    • Author(s)
      戸田 満秋, 有馬 祐介, 岩田 博夫
    • Organizer
      第60回高分子学会年次大会
    • Place of Presentation
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • Year and Date
      2011年5月26日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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