2012 Fiscal Year Annual Research Report
デバイスを用いた治療と再生医療の融合-白金コイルによる脳動脈瘤治療をモデルに-
Project/Area Number |
23791594
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
戸田 満秋 関西大学, 化学生命工学部, 特別任用助教 (50588267)
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Keywords | 生理活性物質表面担持 / 血管内治療用デバイス / 移植・再生医療 / 生体材料 |
Research Abstract |
これまでに細胞増殖因子などのタンパクを付着させたコイルが再開通防止に有効であるとの報告があるが,これらのコイルでは滅菌が困難であり保存安定性についても難点が多い.またそのような複合型医療用具においては認可に多くの困難が伴うと考えられる.近年心臓冠状動脈の狭窄の治療で薬とデバイスの複合体であるドラッグエルーティングステント(DES)が認可された.本課題ではDESの成功例に倣い既に治療に多く使われてきた低分子薬物と従来のコイルを複合化した新規脳動脈瘤治療用デバイスの開発を行い,当該デバイスを用いた治療と再生医療の融合を目指した.この目的を具現化するドラッグエルーティングコイル試作に向け,動脈瘤内の再開通の予防効果のある薬物の選定を行い,文献等による検討および入手性や取り扱いの容易さ,またコスト等を勘案し,高コレステロール血症の治療薬として用いられているスタチン類をコイルに担持する薬剤として用いることが適当である結論に至った.さらにコイル表面にスタチン類をそのまま塗布乾燥により担持せしめ,ラット動脈瘤モデルを用いた評価で良好な結果を得た.そのままでは表面に塗布したスタチン類が容易に流出してしまうため,リン脂質からなる脂質層を形成させ、これにスタチン類を含有させ,徐々に放出することを試みた.その担持などの評価に,白金モデル表面を用いた蛍光顕微鏡,表面プラズモン共鳴法,表面プラズモン励起蛍光分析による解析を用いることができるか,また血管内皮細胞などの培養細胞を用いた検討が行えるかも試みた.結果それぞれの解析方法を組み合わせることでコイル表面へのスタチン類など低分子薬剤の担持の検討に有益な知見を得られた.以上を組み合わせリン脂質からなる脂質層にスタチン類を含有させたコイルを作成した.上記コイルは動脈瘤塞栓コイルとして高い可能性を有すると期待できる.
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