2011 Fiscal Year Research-status Report
悪性脳腫瘍WT1免疫療法でのin vivoイメージング技術の開発
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23791597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
千葉 泰良 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (90533795)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 悪性グリオーマ / Wilms’ tumor 1 (WT1) / 免疫療法 / 癌ワクチン / 腫瘍浸潤リンパ球 / in vivoイメージング / メチオニンPET / GFPマウス |
Research Abstract |
本研究では当院で施行している再発悪性グリオーマに対するWT1ペプチドワクチン療法(以下、WT1療法)において、実際の免疫反応を可視化して治療効果判定に有用な画像検査の開発を目的としている。現在、WT1療法の治療効果判定は造影MRIを用いて行っているが、その判定結果と実際の治療効果(治療開始からの生存期間)との間に解離が見られる事が多い。したがって本研究にて、新たな画像検査としてメチオニンPET(以下、MET)を使用して、メチオニンの取り込み(正常脳と比較)や腫瘍体積を測定して治療前後の変化から治療効果を判定する試みを行った。しかし、それら従来からの方法ではMRIよりは有用であるものの、効果判定に用いるにはまだ不十分であった。そこで、さらに治療効果判定に有用な画像解析法を、本研究にて新たに開発を行った。新たな解析法では新規ソフトウエア開発をし、治療前後の画像を融合して各voxel(1mm3)ごとに集積値がどのように変化したかを解析し、集積値が増大した領域、減少した領域の割合を計算した。それらのデータと生存期間とを比較した結果、メチオニン集積がWT1療法後に増加する領域が5%以上かどうかで2群に分けた場合、5%以上の群で有意(p=0.008)に生存期間が短縮している事が判明した。今まで、WT1療法の効果判定が不十分であったため、無効症例に継続をしたり、有効症例に中止したりという事がしばしばあった。しかし、この新たな解析法を用いたら、WT1療法の継続、中止を的確に判断する事ができ、非常に意義のある結果であった。 動物実験に関しては、治療施行後1週間ごとに脳組織を取り出して組織を検討した。その結果、WT1療法施行群でコントロール群と比較して免疫細胞の浸潤が見られた。今後、最も免疫細胞の浸潤が多くなる時期を見つけて、その時期にPET撮影を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究にて施行する予定であった3種類の研究計画において、「METを用いたWT1免疫療法の評価方法の解析」については、14症例について検討を行って、予後の判定を行う上で非常に有用な評価方法を見いだすことが出来た。その結果は論文で報告して終了した。 「マウスを用いたWT1免疫療法後のMET解析と病理組織との相関」については、まだMET撮影を行っておらず、組織学的検討のみを行っている段階である。METを撮影する機会は限られているため、WT1療法を行った後に確実に組織学的な変化が認められるかどうか、また、認められる場合はどの時点で最も変化が強くなるか検討することを優先した。WT1療法施行前、施行後1週間ごとに脳組織を取り出して組織学的な評価を行っているところである。WT1療法施行後、コントロールと比較して免疫細胞の浸潤などの変化が見られるという事は確認出来たが、今後、詳細な検討を行って最も変化が強くなる時期が分かった時点でMET検査を開始する予定である。 「GFPキメラマウスを用いたWT1免疫療法における免疫反応の経時的in vivoイメージング」については、上記を優先させていたためにGFPキメラマウスの作成をまだ行っていない。しかし、WT1療法施行によって免疫細胞の浸潤が確認出来たため、GPFキメラマウスの作成を行うべく、まず、GFPマウスの購入を準備している。手続きは終了したため、しばらくしたら導入出来る予定で、導入出来たら計画書通りに研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「METを用いたWT1免疫療法の評価方法の解析」は研究が終了したため、今後は研究ではなく、実際の治療評価として用いるのみである。 「マウスを用いたWT1免疫療法後のMET解析と病理組織との相関」については、治療開始から1週間ごとに摘出した脳腫瘍を組織学的に解析を行い、どの時点で最も免疫細胞の浸潤が強いかを判断する。その時期にMET撮影を行ってコントロール群との相違について検討を行う。そして、METにおける相違点が、組織学的に何を表しているのかを検討する。MET撮影は頻繁には行えないが、撮影回数は数回で良く、その後の組織学的検討については慣れた手技であり、特に時間と要さないと思われる。 「GFPキメラマウスを用いたWT1免疫療法における免疫反応の経時的in vivoイメージング」については、4月中にGFPマウスの導入が完成する。ある程度繁殖させたところで大腿骨と頸骨から骨髄細胞を採取して、X線照射後のwild type マウスに静注して骨髄移植を行う。骨髄移植については、学外の先生を招いて手技を教授願わなければならず、手技の習得にある程度の時間を要すると考えられるが、その後の実験計画(腫瘍の移植、WT1療法、腫瘍細胞が最も浸潤する時期での固定、観察および、腫瘍細胞のflow cytometry)は今まで行ってきた手技であり、今年中に終了出来ると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は主に動物実験を研究発表に研究費を使用する予定である。GFPマウス、wild type マウスの購入、飼育に50万円、脳腫瘍細胞の培養、移植に30万円、GFP骨髄細胞の採取、骨髄移植に10万円、免疫染色のための抗体、試薬に40万円、flow cytometryのための抗体、試薬に40万円、WT1ワクチン、アジュバントに30万円、学会発表のための旅費に30万円程度の、合計230万円を使用する予定としている。
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[Journal Article] Use of (11)C-methionine PET parametric response map for monitoring WT1 immunotherapy response in recurrent malignant glioma.2012
Author(s)
Chiba Y, Kinoshita M, Okita Y, Tsuboi A, Isohashi K, Kagawa N, Fujimoto Y, Oji Y, Oka Y, Shimosegawa E, Morita S, Hatazawa J, Sugiyama H, Hashimoto N, Yoshimine T.
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Journal Title
J Neurosurg
Volume: 13
Pages: 835
DOI
Peer Reviewed
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