2013 Fiscal Year Annual Research Report
小児癌生存者における認知機能障害と放射線後幼若脳での白質障害に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23791600
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 福子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (30533799)
|
Keywords | 小児悪性脳腫瘍 / 晩期障害 / Quality of life |
Research Abstract |
当院で治療した当院治療後の小児髄芽腫患者25例(標準リスク群は8例、高リスク群は17例)存在し、全例で腫瘍摘出後、全脳全脊髄への照射は18Gy、3歳未満には放射線治療を行わなかった。この中で、生存中の長期follow up中の症例に対して、経時的に高次脳機能検査を行った。16歳以上の患者には、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale-revised : WAIS-R)を使用し、16歳以下に関しては、Wechsler Intelligence Scale for Children (WISC-R, 7-16歳)を行った。追跡調査が可能な症例で拡散テンソル画像、潅流画像、磁化移動比画像、MR angiographyを用いて、白質および脳血管・血流の経時的変化について検討した。また、さらに治療終了後2年以上経過した症例について、全例で内分泌学的評価を実施した。QOL評価(PediQL、EORTC-QLQ-C30、FACT-Br、SF- 36version2)を行い、就学や就職の状況も検討した。 治療後から測定までの期間は3~7年(平均4.75年)であった。再発例は腫瘍が寛解してもIQ低下が著しかった。再発例を除く症例ではtotal IQ:83.6±10.6、verbal IQ(VIQ):94.4±8.6、performance IQ(PIQ):74.8±12.8であった。PIQはVIQに比して低下しやすい傾向があり、特に知覚統合、処理速度の低下が認められた。小脳症状、脳神経症状の訴えが強い患児はPIQが低い傾向があった。治療時年齢とIQとの有意な相関は認めなかった。白質および脳血管・血流における有意な変化は現在のところ認めなかった。内分泌機能障害に関しては、甲状腺機能異常、成長ホルモン分泌低下を高率に認めた。QOL調査に関しては現在解析中の現状である。不登校や外観上の問題が就学を妨げている場合が存在した。
|