2011 Fiscal Year Research-status Report
マウス低酸素虚血による脳性麻痺モデルにおける低体温療法の効果の検討
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23791603
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木田 裕之 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70432739)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 低酸素虚血 / 新生児 |
Research Abstract |
脳性麻痺に罹患した新生児の多くは運動障害をはじめとする後遺症を残す。これまで低体温療法は脳機能の保護に効果があると考えられてきたが、新生児を対象とした基礎研究はあまり知られていない。本研究は新生児期・低酸素虚血障害マウスモデルを用いて低体温療法の効果について検討した。 出生2-3日後ICRマウスの右総頸動脈を結紮して低酸素環境下(酸素6%)に置いた後、右半球低酸素虚血性脳障害を起こさせた。手術後にはマウスを2群に分け常温(37℃)又は低体温(32℃)下に置いた(24時間)。P4, P7, 5週齢時において灌流固定後の脳から薄切を作成し、Cux1/Ctip2免疫組織染色による大脳皮質の層構造、NeuN陽性細胞数、ミエリン塩基性タンパク(Myelin basic protein; MBP)染色による形態学的観察および4週齢時において運動機能評価実験を実施した。1.常温群では虚血側半球において、深層部位に皮質層状壊死が起こり、浅層が入り組んだ皮質形成の異常が観察された。2.深層のNeuN陽性細胞密度は減少したが(13%)、大脳皮質全体では変化はなかった。3.大脳皮質におけるMBP陽性部位は健常側半球よりも27%減少した。4.低体温処置群では組織学的にも行動学的にもこれらの症状を改善した。 生後2-3日目のげっ歯類はヒトにおいては妊娠中期胎児に相当するため、脳低温療法は早期新生児への脳性麻痺治療につながると考えられ、今後はさらに詳細な脳低温療法のメカニズムを追及してゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の全体目的は、新生児期に低酸素虚血障害を負った脳がどのような発達をするのかという点であった。特に23年度の目標は1)脳性麻痺マウスの作成、動作解析、2)常温群と低体温群間での脳組織発達の比較であった。条件検討の末、脳性麻痺モデルは確立し、ローターロッド試験、ビームバランス試験を実施できた。目標は十分に達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画書に沿って、脳性麻痺の病態を神経細胞、オリゴデンドロサイト両方の両面から検討する。加えて学会発表・論文を作成して、これまでの研究成果を発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の計画時には備品購入(レーザー脳血流装置、ローターロッドテスト)を検討していたが、学内組織の備品を使用することができたため、消耗品の購入に充て、残りは次年度への繰越金とした。なお繰越金は、今年度のオリゴデンドロサイトおよびニューロンへの低体温による保護機構、また再生に関する基礎実験のための消耗品に加え、一部を成果発表のための旅費に充てる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The effect of focal brain cooling on epileptic discharges in rats: Frequency analysis of electroencephalography2011
Author(s)
Hiroyuki Kida, Masami Fujii, Takao Inoue, Yeting He, Yuichi Maruta, Sadahiro Nomura, Kazuhiro Taniguchi, Takuya Ichikawa, Takashi Saito, Michiyasu Suzuki
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Journal Title
The 2011 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics
Volume: SMC 2011
Pages: 686-690
Peer Reviewed
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