2011 Fiscal Year Research-status Report
家族性脳動脈瘤のエクソーム解析による疾患遺伝子の同定
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23791615
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
米山 琢 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90318105)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / エクソーム |
Research Abstract |
本年度は家系内に7人の罹患者を有する脳動脈瘤大家系を対照に、次世代シーケンサーSOLiD4(ライフテクノロジーズ)を用いてwhole exome sequencingを行った。家系内から、発端者を含む罹患者4例と非罹患者3例の合計7例からゲノムDNAサンプル得て解析に供した。7検体のexomeデータのうち、2検体以上で再現性をもって検出された、スプライスサイトおよびコーディング領域のヴァリアントは、1塩基置換(single nucleotide variant, SNV)が26358個、small indelが256個であった。これらの配列変化から、公共データベースに登録されている多型を除外し、病罹患者で共有しているもの、非同義置換については、Web解析ツールPolyPhen2 (http://genetics.bwh.harvard.edu/pph2/)で障害度スコアが高いもの(HumDiv score > 0.95)を抽出した。以上のfilteringにて特定された遺伝子変異について、サンガ―法によるシーケンスにより確認作業を行い、計8個のSNVを含む7遺伝子にまで候補を絞り込むことができた。ここから更に注目すべき遺伝子を抽出するために、家系内連鎖解析も行った。その結果、現在までに報告されている既知連鎖領域とオーバーラップする部分に、興味深い候補遺伝子をひとつ同定するに至った。次に、約250例ずつの患者・対照サンプルでリシーケンシングを行ったところ、統計学的に有意差をもって患者特有に機能障害性変異が存在していることがわかった。現在、この有望な候補遺伝子につき、変異によりどのような機能的変化が起こるのかを検証しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な部分である、次世代シーケンサーによる網羅的配列解析およびサンガー法によるヴァリデーション作業は完了しているので、研究計画どおりに伸展しているといえる。さらに、そこから興味深い候補遺伝子をひとつに絞り込むことにも成功した。現在、当該遺伝子の機能解析を行っているところであり、目標達成までもう少しのところまできているものと自己評価する
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Strategy for Future Research Activity |
当該候補遺伝子の機能解析を行い、変異体がどのようなメカニズムで疾患発症に関わるかを検証する。そのために、まず、RT-PCRや免疫染色等により、組織での発現および細胞局在を検証する。ついで、変異体または野生型の候補遺伝子産物を適当な培養細胞で発現させ、細胞局在の変化や交絡分子との結合差異など、機能的な変化を検出できるような実験系を構築する。また、同時に新たな家系メンバーまたは同一の候補遺伝子変異を持つ別家系のメンバーからもサンプル集積を継続しているので、サンプリングでき次第、次世代シーケンサーによるシーケンシングおよびサンガー法によるヴァリデーション作業を行い、疾患遺伝子としての裏付けをより強固なものにしていく。さらに、患者・対照関連解析では別集団での再現性確認が重要であるので、引き続きサンプル収集および候補遺伝子のリシーケンシングを継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規検体の次世代シーケンシングおよびサンガー法によるヴァリデーションに使用する。また、新規の患者・対照関連解析用検体からのゲノムDNA抽出、および候補遺伝子のサンガー法によるリシーケンシングに使用する。さらに、候補遺伝子の機能解析のため、培養細胞や抗体等の分子生物学的実験試薬にも使用する。
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