2012 Fiscal Year Annual Research Report
家族性脳動脈瘤のエクソーム解析による疾患遺伝子の同定
Project/Area Number |
23791615
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
米山 琢 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90318105)
|
Keywords | 脳動脈瘤 / 感受性遺伝子 / エクソーム |
Research Abstract |
前年度までに、多数の脳動脈瘤患者を有する単一家系のエクソーム解析および高密度SNPチップによる連鎖解析により、現在までに脳動脈瘤との関連が報告されていない新規の感受性遺伝子の同定に至っている。最終年度である本年度は、同定された当該遺伝子変異の機能解析を行った。まず、脳血管での発現を見るべく、手術により採取された脳血管組織検体を用いて免疫染色を行った。その結果、当該遺伝子は脳血管平滑筋細胞に発現していることが確認できた。ヒト脳血管平滑筋細胞由来cDNAを用いてRT-PCRも行い、mRNAの発現も確認している。組織での発現を確認できたので、次いで変異の機能解析を行った。変異体および野生型のモノマー型DsRed融合発現ベクターを作成し、COS7細胞にトランスフェクションして細胞内局在を検討した。変異体および野生型ともに細胞質に局在したが、変異体の方が有意に多くの凝集体を形成することがわかった。Chou-Fasman法による2次構造予測では、変異体は当該部位でのαヘリックス構造をβシートに変えうる傾向を有し、さらにこのβシートはPASTA (Prediction of Amyloid STructure Aggregation, http://protein.cribi.unipd.it/pasta)による解析でCross-beta凝集モチーフをとりうることが予想された。すなわち、今回見出された遺伝子変異は、タンパクの高次構造を変化させ、細胞質での易凝集性を惹起して疾患発症に関わっているということが明らかになった。今後、当該遺伝子変異による易凝集性が実際の疾患発症にどのように関わるのか、更なるメカニズムの解明が必要ではあるが、本研究により有望な脳動脈瘤の感受性遺伝子のひとつを同定することができたといえる。
|