2012 Fiscal Year Annual Research Report
関節軟骨、軟骨下骨を同時に再生可能なインテリジェントマテリアルの開発
Project/Area Number |
23791623
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笠原 靖彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (00581927)
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Keywords | 骨軟骨代謝学 / 再生医学 / scaffold |
Research Abstract |
赤澤らの考案した生体内模倣傾斜機能アパタイト(functionally graded hydroxyapatite:fg-HAp)とは、天然の海綿骨構造を保持しながら、材料表面にナノオーダーの針状結晶とマイクロオーダーの球状結晶を有するアパタイトである。fg-HApの骨軟骨欠損修復材料としての有用性について、既存の連通性多孔体ハイドロキシアパタイトセラミック(以下IP-CHA)と比較検討した。北海道産のウシ四肢骨海綿骨を出発材料として、焼成、硝酸水溶液への含浸等の行程を経てfg-HApを作製した。約20週齢の成熟家兎の顆間窩に作成した骨軟骨欠損(直径4.5mm、深さ4mm)に、欠損とほぼ同サイズのfg-HApならびにIP-CHAを単独で移植した。術後4、12週で屠殺、大腿骨を摘出し、肉眼的・組織学的に比較検討した。移植後4週のIP-CHA群、fg-HAp群の肉眼的所見のスコアはそれぞれ4.2±2.59、8.8±3.27(平均値±標準偏差)であり、有意にfg-HAp群が優れていた。また、移植後12週のIP-CHA群、fg-HAp群の組織学的所見のスコアはそれぞれ11.8±8.11、21.0±3.54であり、有意にfg-HAp群が優れていた。fg-HApは、既存のIP-CHAと比較し、骨軟骨欠損に対する軟骨下骨再建、関節軟骨再生のscaffoldとして有用であることが示唆された。体液・血液を吸収し、血液親和性にきわめて優れた、吸収特性の高いバイオセラミックスであるfg-HApは、培養細胞や成長因子を必要としない骨軟骨欠損修復材料として有用である
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