2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞外環境制御による高悪性腫瘍治療法および腫瘍治療薬腫瘍取り込み増強法の開発
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23791634
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松原 孝夫 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30422827)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 腫瘍細胞環境 / 光線力学的療法 / 骨軟部腫瘍 / 低酸素 / 酸性度 / 高静水圧 / 低栄養 / 抗がん剤治療 |
Research Abstract |
新規購入した低酸素細胞培養器および独自の細胞外環境変換システムを用い、I:骨肉腫細胞株(SaOS2,MG63,LM8,U2OS)、胃癌細胞株(AGN)、肺癌細胞株(H1299)を、低酸素、酸性、低栄養、高静水圧の複合環境下で培養し、各培養環境下での遺伝子発現の違いを、マクロアレイにて比較検討を行った。II:各環境培養後のアクリジンの細胞集積度を、共焦点顕微鏡、pHセンサー色素、FACS scanで検討した。I.各種細胞間での差異がみられたが、低酸素および酸性環境により、これまで明らかとされているHIF関連遺伝子(VEGF,CA9,MMPs)のほか、HES-1,ADM, ALDOA, HK2, GBE1, LDHA, PFKFB4, BNIP3などの遺伝子が同定検出された。低酸素でup‐regulateされる遺伝子もあれば、高静水圧下で抑制される遺伝子もあるため、治療ターゲットとなる遺伝子の特定については、さらなる実験が必要であるが、CA9、VEGFについては、高発現しており、低酸素および酸性をコントロールする重要なタンパクであると予想される。II.AOの細胞培養環境下の違いによる取り込みは、骨肉腫細胞株では、低栄養かつ低酸素下でAOの集積が高く(1.57-2.01倍)、H1299は低酸素下で高い集積(1.35倍)を認めた。また骨肉腫細胞株では低酸素・低pHおよび低栄養の複合因子がAOの細胞内集積度を促進した。細胞浸潤能では、低pH(invasion index34.9)または低酸素環境下(index33.3)でより高い浸潤能を示した。以上の結果は、低酸素などの細胞外環境因子は、悪性腫瘍において、高浸潤能を刺激する因子となり、低pH、低酸素環境をコントロールすることは、悪性腫瘍の治療に有効で、同定された遺伝子を制御することで、次年度の新たな治療法の開発研究が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度、下記の研究目的に対して、I:骨肉腫細胞株(SaOS2,MG63,LM8,U2OS)、胃癌細胞株(AGN)、肺癌細胞株(H1299)を、低酸素、酸性、低栄養、高静水圧の複合環境下で培養し、各培養環境下での遺伝子発現の違いを、マクロアレイにて比較検討。II:各環境培養後のアクリジンの細胞集積度を、共焦点顕微鏡、pHセンサー色素、FACS scanで検討。I.に関しては、同定される遺伝子が各種細胞間での差異が大きく、一元的に特定遺伝子の道程は困難であるものの、今後のカギとなる遺伝子の同定に目途をつけることができた。II.の細胞環境間における、アクリジンオレンジの集積度は、予想の通り、低酸素、低栄養にて増強されることが判明した。細胞環境間でのアクリジン殺細胞効果については、環境の差異による殺細胞効果の違いにより、光線療法による殺細胞効果の判定は困難であったが、遺伝子同定により、次年度研究での対象遺伝子が絞られたため、おおむね研究は進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
I. 平成23年度In vitroで得られた、AO集積を促進する細胞環境(低酸素、酸性)を、マウス背部に移植した腫瘍(in vivo)で再現し、その腫瘍に対する、AOの細胞内への取り込みと光線殺細胞効果、抗癌剤の抗腫瘍効果を検討し、最も殺細胞効果の得られる環境を発見することで、臨床治療に直結する殺細胞効果向上法を検討する。II. 平成23年度に得られたターゲット遺伝子をノックダウン(SiRNA)した各種細胞株をマウス背部に移植し、細胞環境への影響と、各種抗癌剤、アクリジンの殺細胞効果を検討する。I.(1)マウス腫瘍細胞移植モデルを作成し、移植された皮下腫瘍に対して、needle pHメーターを使用し、in vivoでの腫瘍組織pHを測定。(2)測定された酸性度を基に、細胞外環境を、酸、ischemic ring、Pressure chamberを使用し、細胞外環境を調整。(3)細胞外環境を調整後48時間で、尾静脈よりAOを全身投与し、AOの集積した腫瘍を辺縁切除するとともに、光線力学的療法を行って、マウスの腫瘍再発率/生存率、肺転移数評価、切除組織病理学的評価を行う。(4)細胞環境を調整後、各種抗癌剤を局所投与し、殺細胞効果も経時的に検討する。II.(1) Iでの実験と同様に腫瘍細胞を移植するが、CA9、VEGFRまたはBNIP3、HES1をノックダウンした腫瘍細胞株を移植し、I(1)-(4)と同様に実験を行う。以上により細胞環境の違いおよび発現遺伝子の違いによる殺細胞効果を検討し、臨床応用可能なタンパク遺伝子、環境を見出し治療効果向上への研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記I.IIで使用するマウス、CA9、VEGF、HES1、BNIP3に対するSiRNA試薬および飼育費。また、得られた研究成果を、アメリカ整形外科基礎学会、アメリカ整形外科学会をはじめとする各種国際学会に発表、投稿するための研究費。
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[Journal Article] Acridine orange inhibits pulmonary metastasis of mouse osteosarcoma.2011
Author(s)
Satonaka H, Kusuzaki K, Akeda K, Tsujii M, Iino T, Uemura T, Matsubara T, Nakamura T, Asanuma K, Matsumine A, Sudo A.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 31(12)
Pages: 4163-8
Peer Reviewed
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[Presentation] A Novel Oncolytic Virotherapy Using Live-attenuated Poliovirus for Soft Tissue Sarcoma.2012
Author(s)
S. Atsumi, A. Matsumine, Y. Asanuma, N. Akita,T. Yoshikawa, K. Yoshida, T. Matsubara, T.Nakamura, T. Okamoto, T. Hayashi, A. Uchida,A. Sudo.
Organizer
Orthopaedic Research Society
Place of Presentation
California
Year and Date
Feb 4-7,2012
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[Presentation] Analysis of tumor metastatic using low coagulation activity model in mice.2012
Author(s)
K. Asanuma, A. Matsumine, Y. Asanuma, N.Akita, T. Yoshikawa, K. Yoshida, T. Matsubara,To. Nakamura, T. Okamoto, T. Hayashi, A.Uchida, A. Sudo.
Organizer
Orthopaedic Research Society
Place of Presentation
California
Year and Date
Feb 4-7,2012
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[Presentation] Acridine Orange Inhibits Pulmonary Metastasis and Invasion on Mouse Oseteosarcoma.2012
Author(s)
Haruhiko Satanaka, Koji Akeda, Katsuyuki Kusuzaki, Masaya Tujii, Takahiro Iino, Takeshi Uemura, Tomoki Nakamura, Takao Matsubara,Kunihiro Asanuma, Akihiko Matsumine, Akihiro Sudo.
Organizer
Orthopaedic Research Society
Place of Presentation
California
Year and Date
Feb 4-7,2012
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