2012 Fiscal Year Research-status Report
新規骨接着型生体吸収性材料リン酸化プルランを用いた新しい骨折治療法の検討
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23791643
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 佳久 岡山大学, 大学病院, 助教 (80423309)
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Keywords | 生体吸収性骨セメント / リン酸化プルラン / 徐放特性 |
Research Abstract |
申請者らは独自に開発した硬組織接着性多糖誘導体を用い,生体親和性が高く,かつ骨に対し強固に接着する生体吸収性骨セメントであるリン酸化プルランを創製した.このリン酸化プルランは,硬化時に重合熱を発生しないことから様々な成長因子や薬剤の投与が可能である. 本年度は,In vitroでリン酸化プルランの成長因子徐放特性について検討した.成長因子としては骨形成促進作用があると言われるBMP-2を用いた.方法は,BMP-2を含有させたリン酸化プルランをビーズ状に成型し,PBSバッファーに浸漬した.37℃で24時間毎にPBSバッファーを交換し,それをリン酸化プルランが完全に溶解するまで繰り返した.徐放されたBMP-2の量をELISAにて測定した.結果,回収したサンプルから検出されたBMP-2は微量であり,明らかな徐放性は確認できなかった.以前の実験で,抗菌薬および抗腫瘍薬に関しては徐放性が示されており,次年度もCPCおよびPMMAとの比較を含めた追加実験が必要と考えられた. またIn vivoでは,さらに優れた骨セメントを開発すべく,これらの改良を行った上で,ラットを用いた骨再生実験を行った.方法は,ラット用創外固定器を使用して大腿骨幹部を約1cm骨切りし,大腿骨近位部と遠位部に1.0mmのキルシュナー鋼線を挿入して大腿骨を固定した.これらを4週間経過観察した後に,大腿骨骨欠損部をmicro-CTで撮影し欠損が残存していることを確認した. ラットを用いた卵巣摘出骨粗鬆モデルも作成した.ラットの卵巣を両側摘出した.一定期間経過観察した後,micro-CTを用いて骨密度を計測し骨粗鬆モデルを確立した.骨粗鬆ラットに対しても同様に,創外固定を用いた大腿骨骨切りモデルを作製し,micro-CTを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り,概ね順調に進展している.In vitroでリン酸化プルランの成長因子徐放特性について検討した.成長因子としては骨形成促進作用があると言われるBMP-2を用いた.方法は,BMP-2を含有させたリン酸化プルランをビーズ状に成型し,PBSバッファーに浸漬した.37℃で24時間毎にPBSバッファーを交換し,それをリン酸化プルランが完全に溶解するまで繰り返した.徐放されたBMP-2の量をELISAにて測定した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,前述の成長因子徐放特性の追加実験を行い再検討する.またラット大腿骨骨切りモデルおよび骨粗鬆モデルを使用して,骨形成タンパク等の成長因子をリン酸化プルランに混和し骨形成の促進を図るとともに,さらに優れた骨セメントの配合を検討する.骨折治癒の評価としてmicro-CTおよび組織学的検査を行う.micro-CTでは,仮骨の形成時期および形成された仮骨の大きさを計測する.組織学的には骨接合材が内軟骨性骨化および膜性骨化に与える影響を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費の使用計画については,物品費65%(次年度繰り越し分を含む),旅費25%,その他文献複写費,雑誌投稿費に10%を使用する予定である.
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