2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己重合ペプチドスキャフォルドの骨再生メカニズムの解析
Project/Area Number |
23791644
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三澤 治夫 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60448222)
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Keywords | 骨再生 / 硬膜損傷 / 自己重合スキャホルド |
Research Abstract |
申請者らは自己重合ペプチドスキャホルド(SASP)であるRAD-16-Iを用いた研究をこれまで行ってきた。平成23年度は、ウサギ骨欠損モデルを作成し骨再生促進能力を検討した。ウサギ大腿外側顆上部に直径2.4mmのドリルを用いて円形の骨欠損を作成した。SASP を同部に投与した。対側は対照群とした。4週後に屠殺し、同部を肉眼的に観察した後、動物用μCTで放射線学的に評価した。その後、病理組織学的に評価した。対照群では、骨欠損部に膨留するように骨形成が認められた。SASP投与群では、対照群で認めたような異常な膨留は認めなかった。周辺組織との癒着もごく軽度であった。骨形成に関しては、欠損部は新生骨で充填されていた。現在、我々が使用しているSASPは外科分野において、手術時の止血剤として臨床試験が行われている。骨欠損においても、止血効果が得られてことにより、周囲への骨髄やその他の物質の流出が抑えられたと考える。その効果によって、異常な骨膨留や周囲との癒着が予防された可能性がある。高い止血効果と周囲組織への保護作用を利用し、脊椎領域で問題となる硬膜損傷への展開も可能と考える。平成24年度は、ラット硬膜損傷モデルを作成し髄液漏の予防効果について検討した。L1レベルで椎弓切除を行い、マイクロメスで50ミリ平方メートルの硬膜欠損を作成した。同部位にSASPを投与した。製品化されたフィブリンのり投与、欠損のみを対照群とした。3週間後に屠殺し、μCTによる放射線学的評価と、組織学的評価を行った。SASP群、フィブリンのり群はミエログラフィーによる造影剤の漏出を認めなかったが、硬膜欠損群は漏出を認めた。組織学的評価でSASP群には硬膜欠損部に修復組織を認めた。 この度の研究結果からもSASPは実用できうる優れたスキャホルドと考えられる。引き続き、臨床応用にむけた研究を継続していく予定である。
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