2011 Fiscal Year Research-status Report
発生学的アプローチによる関節内構成体(靭帯、半月板)再建方法の開発
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23791654
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
橋本 祐介 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10382178)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 関節再建 / 発生 / 組織再生 |
Research Abstract |
変形性膝関節症の要因となる関節内靱帯損傷・半月板損傷に対する現在の治療は、人工材料あるいは代替物である移植腱を使用した再建が多いのが現状である。しかし本来は、組織学的再生修復による再建が望ましい。我々は骨形成因子(BMP-2)を用いて移植腱の軟骨化や骨化を誘導することに成功しており(Hashimoto et al JOR 2007)、靭帯と骨との境界部である「骨腱移行部」再生を再現し、さらにその骨化過程において、半月板に極めて類似した組織像を呈していることを発見した。そこでこの技術を応用して、より臨床に近いモデルとして膝前十字靭帯再建方法と半月板再建術の開発を行った。その結果、組織学的に正常に近く、力学的にも有利な再建方法が確立できたが、2度手術をする必要があったり、半月板においては骨化が強く進むことがあり、さらなる改良を加えた臨床で受け入れられる手術方法の開発が必要と考えられた。A)rhBMP-2注入腱を使用した一期的手術を目的とした前十字靱帯の再建術の開発一期的手術を目指したrhBMP-2を用いたより正常に近似させる前十字靭帯再建術を試みた。白色家兎の半腱様筋腱を露出、BMPの漏出を防ぐため、注入部の両端をナイロン糸で結紮し、骨化予定部分にrhBMP-2(1か所15ug)を2箇所に注入した。20分後にナイロン糸を除去し、大腿骨側、脛骨側の骨孔に移植した。B) 骨化抑制物質による関節包側の骨化抑制効果をnogginを用いて行ったが、抑制効果が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
A)rhBMP-2注入腱を使用した一期的手術を目的とした前十字靱帯の再建術の開発一期的手術を目指したrhBMP-2を用いたより正常に近似させる前十字靭帯再建術を試みた。白色家兎の半腱様筋腱を露出、BMPの漏出を防ぐため、注入部の両端をナイロン糸で結紮し、骨化予定部分にrhBMP-2(1か所15ug)を2箇所に注入した。20分後にナイロン糸を除去し、大腿骨側、脛骨側の骨孔に移植したところ、本来骨になる部分がずれて、予想とは違うところに骨化が見られることがあった。また骨化まで見られない場合もあり、BMPの量や、ナイロンで結紮する時間、術後固定などの検討が必要と考えられた。B) 骨化抑制物質による関節包側の骨化抑制効果をnogginを用いて行ったが、はっきりとした抑制効果が認められなかったため、nogginの用量の検討や、BMP自身の量を検討し、長期的なモデル作成を考える必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
A)rhBMP-2注入腱を使用した一期的手術を目的とした前十字靱帯の再建術の開発本来骨になる部分がずれて、予想とは違うところに骨化が見られることがあった。また骨化まで見られない場合もあり、BMPの量や、ナイロンで結紮する時間、術後固定などの検討が必要と考えられた。モデルの見直しを行いながら、得られた組織から標本を作製し、骨孔と移植腱の骨形成、錨着程度、enthesisの再現を評価する。また力学的試験を行い、生理学的に正常に近い再建術が可能であることを証明する。評価としてH-E、toluidine blue染色を行い、腱骨連結部の軟骨形成と骨形成を観察する。typeI,IIcollagenに対する抗体を用いた免疫学的組織染色にて、蛋白レベルでの評価を行い、正常enthesisとの比較を行う。採取した腱骨連結部の力学的強度評価目的に、力学試験機を用いて引っ張り強度と破断部位を確認し、群間比較を行う。B) 骨化抑制物質による関節包側の骨化抑制効果前年度に検討した最適なBMP-2を腱内に注入する。内側半月を切除しBMP-2注入腱で半月板再建術を行う。この半月板再建術モデル1・3・6ヶ月のレントゲン、半月板の評価、関節軟骨評価を行い、長期による軟骨変性抑制効果つまり半月板としてのショックアブソーバーとしての役割となりうることを証明する。評価としてtoluidine blue、Safranin-O染色を行い、再建半月板の軟骨形成と骨形成を観察、大腿骨、脛骨の組織学的所見、レントゲン所見から軟骨変性を評価する。type 1,2 collagenに対する抗体を用いた免疫学的組織染色にて、蛋白レベルでの評価を行い、正常半月板との比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験モデルの確立のために50羽は必要と考えられる。その後正確な最終評価のために80羽(1,200千円)が必要と予測している。それに伴う評価用の試薬等の消耗品は二年度で800千円が必要になると予測している。旅費等の経費に関して国内および海外学会での情報収集、発表に対して各々200千円、300千円が必要になると予測している。また校閲費150千円、印刷費50千円、投稿料100千円が必要であると考えられる。
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Research Products
(4 results)