2011 Fiscal Year Research-status Report
分子プロファイルに基づく骨肉腫の薬剤感受性マーカーの探索
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23791673
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
岩田 慎太郎 千葉県がんセンター(研究所), その他部局等, 整形外科 医長 (90549685)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / アレイCGH / ゲノム解析 |
Research Abstract |
1)骨肉腫のゲノムコピー数異常解析と遺伝子発現解析当院バイオバンクに保存されている小児骨肉腫腫瘍凍結検体より22症例分をピックアップし、ゲノムコピー数異常解析を行った。解析によって得られるデータのbackground noiseを出来るだけ低減させるため、全ての検体は化学療法施行前の生検組織とし、また初診時転移無しの四肢原発通常型骨肉腫で、同一の化学療法及び手術療法が施行された症例に限定した。アレイCGH解析は44k Whole Human Genome oligoDNA microarray (Agilent Technologies)を用いて行われた。コントロールは正常ヒト胎盤組織を用いた。全例においてCGH解析に耐えうる高品質のDNAが抽出可能であった。2)治療感受性関連ゲノム領域の限局と候補遺伝子の抽出と検証全症例をその薬剤奏効性より3群に分類し(MAP療法に奏効した群、IFO療法に奏効した群、いずれの薬剤プロトコールも不奏効であった群)、各群におけるsignatureとなりうるゲノムコピー数異常領域を統計学的に抽出した。その結果、8か所のゲノムコピー数異常領域が3群を分類しうるmarkerとして抽出された。特に薬剤不奏効群のpredictive markerとなる領域には、これまでに骨肉腫のtumorigenesisや他の癌腫での薬剤抵抗性に関与することが報告されている遺伝子群が内包されており、これらの遺伝子が骨肉腫においても重要な機能を司っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(平成23年度研究計画より)1)治療感受性の異なる骨肉腫のゲノムコピー数異常解析これまでのところ、22症例の検体を用いてのゲノムコピー数異常解析が終了しており、その詳細なデータが得られている。当初の予定では化学療法奏効群と不奏効群に二分する予定であったが、より臨床へのfeed backとして有用であると思われる、二つの化学療法レジメンの奏効性をもとにした三群に分類することに変更した。ゲノムコピー数異常解析の結果、すでにそれぞれの化学療法感受性を予測するゲノム領域が特定されており、また各群の予後解析でも薬剤奏効性に関連する結果が得られている。以上より、この項目に関する今年度の目的はほぼ達せられていると判断できる。2)候補遺伝子の発現解析と骨肉腫での臨床的意義の検証上記ゲノムコピー数異常解析の結果から候補遺伝子を抽出し、発現解析をおこなうための準備としてのRNA調整、パネル化およびPCR用のプライマー作成を行った。実際の発現解析は次年度の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ゲノム異常および遺伝子発現解析に基づく予測マーカーの抽出と薬剤感受性予測システムの構築初年度に抽出した、化学療法感受性を予測する8か所のゲノム領域を調査し、これらに内包される候補遺伝子群の発現量解析を行う。具体的には、各検体よりRNAを抽出し、マイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングを行い、網羅的に発現データを取得する。さらには各候補遺伝子の定量的PCRを行うことで、薬剤感受性予測マーカーとしての臨床的意義を検証する。絞り込んだ各候補遺伝子の発現量をもとに、多変量解析を行い、各遺伝子のマーカーとしての性能と関連性を検討したのち、weight vote法の応用等により、薬剤感受性の予測のためのスコアリングモデルシステムを構築する。2)新規症例を用いた薬剤感受性予測システムの検証これまでの候補遺伝子群の抽出過程において用いられていない新規骨肉腫臨床検体を用い、抽出した遺伝子のマーカーとしての検証を行う。各検体よりRNAを抽出し、定量的PCRにより各候補遺伝子の発現量データを得た後、感受性予測スコアリングモデルに当てはめ、そのスコアと実際の薬剤感受性との照会を行うことで本システムの検証を行う。3)研究成果の公表これまでの研究結果を米国癌学会などの国際学会で発表し、またpeer-reviewed journalでの論文発表を予定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発現チップ解析(逆転写酵素、チップ代+標識試薬含む):2.5万円 x 22サンプルPCR関連試薬(プライマー、Taqポリメラーゼ、定量PCR用プローブ)5万円/遺伝子その他試薬(核酸調製試薬など)外国旅費:20万円研究成果投稿料:5万円
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Research Products
(2 results)