2012 Fiscal Year Research-status Report
分子プロファイルに基づく骨肉腫の薬剤感受性マーカーの探索
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23791673
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
岩田 慎太郎 千葉県がんセンター(研究所), 整形外科, 医長 (90549685)
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Keywords | 骨肉腫 / 薬剤感受性 / ゲノム解析 / 次世代シーケンシング |
Research Abstract |
1)骨肉腫のゲノムコピー数異常解析と遺伝子発現解析 これまでの当院バイオバンクに保存されている小児骨肉腫腫瘍凍結検体22症例に加え、さらに8症例のbackgroundが同質である症例よりDNAを抽出し、解析を行った。いずれもCGH解析に耐えうる高品質のDNAが抽出可能であった。また当該の試料より抽出されたRNAを用い、骨形成および骨肉腫発生に関与すると目される遺伝子群(RUNX2など)の発現解析を行った。 2)治療感受性関連ゲノム領域の限局と候補遺伝子の抽出と検証 前年度までに解析を行った、learning series22症例のArray CGHによるゲノムコピー数解析の結果、Differential analysisにより化学療法奏効性を予測する8個のgenomic markerが特定され、その中には既知の骨肉腫関連遺伝子が内包されていた。またこれらを用いたscoring systemを策定し、独立した8例のvalidation groupによる検証を行ったところ、高い精度をもって各グループに症例群を判別可能であった。 3)次世代シークエンサーを用いた癌関連遺伝子の変異検索 上記より抽出された、特に化学療法に強い抵抗性を示す症例を中心に、次世代シーケンシングの手法を用い、407癌関連遺伝子の変異検索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(平成24年度研究計画より) ・ゲノム異常および遺伝子発現解析に基づく予測マーカーの抽出と薬剤感受性予測システムの構築 ・新規症例を用いた薬剤感受性予測システムの検証 前年度までに抽出した、薬剤感受性予測のためのgenomic markerを検証するため、新規症例で独立した解析を行い、これらのマーカーの高い信頼性を得ることが出来た。興味深いことに、これらのゲノム領域には、ERBB4やLSAMPなどの、過去に骨肉腫の予後のマーカーの可能性が報告されている遺伝子群ばかりか、他の癌腫における薬剤感受性の指標となる遺伝子をも内包しており、その重要性が示唆される結果であった。以上より、この項目に関する今年度の目的はほぼ達せられていると判断できる。 ・候補遺伝子の発現解析と骨肉腫での臨床的意義の検証 骨肉腫細胞株8種および上記解析対象症例16種より抽出されたRNAを用い、アレイCGH解析で強い増幅を認めた領域の癌関連遺伝子群(CDK4など)および過去の論文より骨肉腫においてその重要性が認識されつつある骨関連遺伝子群(RUNX2など)の発現解析を行った。その結果、薬剤感受性との相関を認める遺伝子群を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
・Genomic markerを用いた薬剤感受性予測システムの構築 これまでの研究結果をもとに、現在peer-reviewed journalへの論文投稿中である。また研究結果を各専門学会で報告する予定である。 ・次世代シークエンサーを用いた癌関連遺伝子の変異検索 難治例である薬剤抵抗性症例における本質的な問題点を探るため、薬剤抵抗性症例で上記のマーカーの頻度の少ない症例を対象に、次世代シーケンシングの手法を用い、新規癌関連遺伝子の変異検索を開始した。来年度は本テーマをより深く掘り下げることで、骨肉腫の薬剤耐性に関わる遺伝子の解明の研究を進めて行くこととする。 具体的には、Ion AmpliSeq Comprehensive Cancer Panel(Life Technologies Japan)を利用し、対象症例8-10例に対し407癌関連遺伝子に関してdeep sequencingを行い特異的変異を抽出する。さらに対象症例を拡張(FFPEサンプルの使用も視野に入れる)して検証を進めて行くこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異解析(試薬代など)10万円 x 8-10症例 その他試薬(核酸調製試薬など) 外国旅費 20万円 研究成果投稿料 10万円
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Research Products
(3 results)