2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791689
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | CRPS / アクアポリン1 / 慢性疼痛 / 動物モデル / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
人の痛み疾患である複合性局所疼痛症候群(CRPS)には浮腫及び疼痛を起こす機序がある。水チャネルであるアクアポリン1(AQP1)がCRPSに関与しているという仮説を確かめるためにAQP1欠損マウスにCRPS動物モデルを試みた。このモデルでは動物の後ろ足首に硬いゴムのO-リングを付けることによって一時的に足の血流を止める(虚血後慢性疼痛(CPIP)モデル)。ラットまたはCD1系マウスでは3時間の足の血流閉鎖によって血流再開後にCRPSと同様な症状即ち浮腫及び痛みが起こる。AQP1欠損マウスにCPIPモデルを与える前に、比較対象となるC57BL/6マウスにCPIPモデルを作成し、血流再開後の経過観察の必要があった。足の血流を閉鎖させるために内径の異なるO-リングを試した。1.42mmのリングは一番強い浮腫を起こした。浮腫は血流再開後3日までに改善したが、過去の実験動物の報告と対象的に、C57BL/6マウスでは虚血後には痛みが生じなかった。むしろリングを付けることによって足の感覚喪失が現れ、それは虚血1週間後に徐々に回復し始めた。その感覚障害は圧挫損傷の神経支配領域で見られる感覚喪失・回復と似たような症状だった。さらに、ラットと違って、C57BL/6マウスには感覚が戻った後に痛みが認められなかった。この問題を解決するためにより大きいリングを試してみた。しかし、より大きいリングの装着によって虚血後の浮腫の程度が減少し、感覚喪失も和らいだが完全に避けることができなかった。痛みも発生しなかった。2.06mmより大きいリングによって完全血流閉鎖ができず、浮腫も見られなかった。CPIPモデルにより疼痛が生じなかった結果からそのモデルはC57BL/6マウスに適応していない事が分かった。血管性および神経性両方のCRPS成分におけるAQP1の役割を調べるために他のモデルを検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物の種類や系によって病気モデルの結果が異なることがある。AQP1の役割解明の目的を達成するために、本研究では使用しなければならないC57BL/6マウスには虚血・再還流によって痛みが起きない事が分かった。O-リング脱着による著しい浮腫が起きる一方、リングを取り外した後に後ろ足に感覚喪失または障害が現れる。またC57BL/6系マウスには感覚の回復後には痛覚過敏が現れないので、C57BL/6マウスにおいてCPIPモデルは典型的なCRPSモデルには当てはまらない可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
CRPSの血管性および神経性両方の成分におけるAQP1の役割を明らかにするためにC57BL/6マウスに両方の成分を持つモデルを作成する必要がある。坐骨神経切断モデルは慢性痛覚過敏と足の浮腫を引き起こすという報告がある。それでその次に、坐骨神経切断モデルをC57BL/6マウスで試してからAQP1欠損マウスに与える。その後最初の計画通りCRPSのモデルを与えたC57BL/6マウスにおいてAQP1mRNAなどの発現レベルを確認する。これらの行動学的および分子生物学的のデータに基づき、CRPS機序におけるAQP1の役割を明らかにしてみる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を続けるために使用する。大きな実験装置の購入をせず、研究費を消耗品などの購入に使い、研究を終わらせ、科学学会や雑誌での研究結果発表などに使用予定。
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