2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791689
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
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Keywords | アクアポリン1 / CRPS / 虚血後慢性疼痛モデル |
Research Abstract |
水チャネルであるAQP1は浮腫形成と痛みの両方に関与している。浮腫や痛みは慢性疼痛症候群の一つであるCRPSの特徴である。本研究は、AQP1がCRPSのメカニズムに関与しているかどうかを調べるために行われた。ラットのCRPSの動物モデルとして提案された虚血後慢性疼痛(CPIP)モデルを用いた。このモデルではゴム製のOリングを動物の後肢足に装着し、その足を虚血状態にする。再灌流後には虚血側の後肢足に浮腫および痛覚過敏が発生する。オリジナルのプロトコルに従ってCPIPモデルを作成したが、痛覚過敏ではなく感覚消失を認めた。その感覚消失はOリング装着中に足首の神経の傷害によって引き起こされたと考えられる。したがって、既存のモデルを変更する必要があったので、マウス大腿に空気圧カフの装着による血流遮断を試みた。そうすることによって神経損傷を軽減することができ、再灌流後に感覚のテストも問題なく行えた。その後、野生型マウスに改変されたCPIPモデルを与え、浮腫および痛覚過敏の発生におけるAQP1の役割を調べた。そのために、AQP1機能の阻害剤であるアセタゾラミド(AZA)を用いた薬理学的アプローチを用いた。AZA 群のマウスでは、CPIP作成日の前日から、28日間の観察期間に渡って毎日AZAの投与を行った。しかし、AZAの投与は浮腫の程度やその減り具合に影響を及ぼさなかった。また、28日の観察期間中に行われた機械的および熱刺激による感覚アッセイにおいてもAQP1阻害剤投与による痛みの改善効果も見られなかった。この結果から、AQPは虚血再灌流傷害後の浮腫形成および痛覚過敏症の発症に関与している可能性は低いことが示唆された。また、CRPSの薬理学的管理のためにAQP1以外のターゲットを探るべきことも示唆された。その目的を達するために改変されたCPIPモデルは一つの大事な実験ツールになるだろう。
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