2012 Fiscal Year Annual Research Report
血糖値が体温調節性シバリングに与える影響についての研究
Project/Area Number |
23791692
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
正宗 大士 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (40324199)
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Keywords | 体温 / 血糖 / シバリング |
Research Abstract |
手術中の体温は低下することが多く、その結果、術後の患者でシバリングが認められることがある。その結果、患者にとって重大な合併症が起こりうる。一方、糖尿病に代表される耐糖能異常はよくある合併症である。また、周術期は、手術侵襲や術前の絶食・脱水により耐糖能異常が起こりやすい。しかし、低血糖・正常血糖・高血糖とシバリングの閾値温度の関係は現在まで明らかにされていない。 実験方法は研究実施計画の通りに行った。 まず、平成23年度は、ウサギを以下の3群に分け、シバリング閾値温度の比較検討を行った。C群:生食を持続投与し血糖値の調節は行わない。IIT群(強化インスリン療法群):インスリンを持続投与し血糖値を60~100mg/dLとした。H群(高血糖群):ブドウ糖を持続投与し血糖値を200~350mg/dLとした。結果、IIT群ではシバリング閾値温度の低下を認め、H群ではシバリング閾値温度の上昇を認めた。以上の内容に考察を加え、日本麻酔科学会第58回学術集会において報告した。 次に、平成24年度は、以下の3群において、シバリング閾値温度の比較検討を行った。C群:上記と同様とした。インスリン・ブドウ糖を持続投与することで、IIT群:血糖値を75~100mg/dLとし、L群(低血糖群):血糖値を50~75mg/dLとした。検出力検定の結果、各群は各13羽とした。結果は分散分析とStudent-Newman-Keuls testで統計処理した。シバリング閾値温度は、C群:37.8±1.0℃、IIT群:37.0±0.7℃、L群:35.7±1.1℃と三群間で有意差を認めた。つまり、ウサギは低血糖状態ではシバリング閾値温度が低下した。低血糖状態が体温調節ニューロンの活動を調節し,シバリング閾値温度を低下させたものと推測された。日本麻酔科学科関東甲信越・東京支部第52回合同学術集会において報告した。
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