2012 Fiscal Year Annual Research Report
インビボパッチクランプ法による大脳皮質体性感覚野への麻酔薬作用機序の解明
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23791710
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩川 浩輝 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30572490)
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Keywords | インビボパッチクランプ / 大脳皮質 / 第一次体性感覚野 / oscillation / プロポフォール / ペントバルビタール / レミフェンタニル / ケタミン |
Research Abstract |
平成23年度に大脳皮質第一次体性感覚野からのインビボラットを用いたパッチクランプ記録法手技を習得した。このインビボパッチクランプ記録ではラットの足肢への痛み刺激による応答が記録されるのみならず、バースト状の周期的興奮(oscillation)の発生頻度を測定することで意識の状態が評価できることが明らかとなった。そこで、平成24年度は同法を用いて、様々な静脈麻酔薬の鎮痛作用、鎮静作用を検証した。平成24年度はまず、プロポフォールに関する痛覚応答とバースト周期の変化の観察を行った。プロポフォールの経静脈的に投与後痛覚応答が抑制され、バースト周期も低下することが明らかとなった。すなわち、プロポフォールは臨床上鎮痛効果が乏しいとされているが鎮静作用のみならず、鎮痛作用を持つ ことが示唆された。この内容は平成24年6月に行われたヨーロッパ麻酔科学会で発表を行った。次に、臨床上鎮静薬として使用されるペントバルビタールの作用を検討した。ペントバルビタールもプロポフォールと同様第一次体性感覚野への痛覚応答の抑制作用並びにoscillationの抑制作用が明らかになり、プロポフォールの結果と合わせて同年10月に行われた米国麻酔科学会において発表した。さらに、臨床的に鎮痛薬として使用される持つケタミンやレミフェンタニルの作用を検討した。これらの薬物でもプロポフォールやペントバルビタールと同様、大脳皮質への痛覚情報伝達を抑制することが明らかとなった。しかし、プロポフォールやペントバルビタールで観察されたoscillationの発生頻度の減少効果と比較し、ケタミン、レミフェンタニルではその減少効果は有意に軽度であった。すなわち、これらの薬物の鎮静効果は軽度であることが示唆された。この新たな実験結果を平成25年6月に開催されるヨーロッパ麻酔科学会で発表する予定としている。
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