2011 Fiscal Year Research-status Report
グルタレドキシンの酸化還元制御と心筋細胞における抗アポトーシス効果の解析
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23791715
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
稲冨 千亜紀 長崎大学, 大学病院, 助教 (20508444)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 心筋保護 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
グルタレドキシン(GRX)の抗アポトーシス作用の機序の解明GRXは生体においてタンパク質の遊離システイン基を酸化ストレスから保護する内在性抗酸化機構のひとつである。また、Akt/protein kinase B (PKB)の酸化修飾がアポトーシスの進行に関与していることが示唆されている。また、一酸化窒素(NO)によるタンパク質の遊離システイン基のS-ニトロシル化は酸化還元依存性のシグナル伝達の構成要素であると認識されている。NOがPKBのS-ニトロシル化と不活性化を引き起こし、インスリン抵抗性などの病因に関与することが示唆されている。一方、GRXはPKBの酸化還元状態を制御することで酸化ストレスによるアポトーシスを抑制することが知られている。GRXがNOによるPKBのS-ニトロシル化を抑制することで抗アポトーシス効果を発揮する可能性を検討することを目的とし、前段階としてNOによるS-ニトロシル化でアポトーシスを起こすことが知られているglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)について検討した。ラット心筋芽細胞H9c2コントロール細胞(H9c2-control)とH9c2のGRX過剰発現細胞(H9c2-GRX)を用いて、GRXがGAPDHのS-ニトロシル化を抑制するか検討した。以前よりGRXの過剰発現がNOによるGAPDHの核移行抑制することでアポトーシスを抑制する可能性を示唆するデータを得ていたが、さらにH9c2-controlとH9c2-GRXをそれぞれNO-donorであるSNAPで刺激後にウエスタンブロット法で比較し、H9c2-GRXではGAPDHのS-ニトロシル化が抑制されている可能性が認められた。今後は同様にPKBのS-ニトロシル化による不活性化とGRXの酸化還元制御との関連について詳細を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前段階の実験・データ解析に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
前段階の実験で実験の準備・方法等は分かっているので、研究の進行をスピードアップしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生化学関連試薬や細胞培養関連試薬などの購入や研究成果を学会で発表するための旅費に使用する予定。
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