2012 Fiscal Year Research-status Report
グルタレドキシンの酸化還元制御と心筋細胞における抗アポトーシス効果の解析
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23791715
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
稲冨 千亜紀 長崎大学, 大学病院, 助教 (20508444)
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Keywords | 酸化ストレス / 心筋保護 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
グルタレドキシン(GRX)は、酸化ストレス下でAkt/protein kinase B (PKB)の酸化還元状態を制御することで、抗アポトーシス効果を発揮することが知られている。また一酸化窒素(NO)がPKBのS-ニトロシル化を引き起こし病因に関与することが示唆されている。GRXがNOによるPKBのS-ニトロシル化を抑制することで抗アポトーシス効果を発揮する可能性の検討を目的とし、前段階としてNOによるS-ニトロシル化で核移行しアポトーシスを引き起こすglyceraldehyde-3-dehydrogenase (GAPDH)について、ラット心筋細胞H9c2のコントロール細胞(H9c2-control)とGRX過剰発現細胞(H9c2-GRX)を用いて、GRXがNOによるGAPDHのS-ニトロシル化を抑制することでアポトーシスを抑制するか検討した。NO刺激下でのTUNELアッセイではH9c2-controlと比較してH9c2-GRXではアポトーシスが抑制されていた。NO刺激下でGAPDHの細胞内局在を比較し、H9c2-controlではGAPDHの核移行が認められたがH9c2-GRXでは局在に変動がなかった。ウエスタンブロット(WB)法によるNO刺激後のGAPDHのシステイン残基のS-ニトロシル化の評価で、H9c2-controlではS-ニトロシル化されたGAPDHと推測されるタンパク質が検出されたが H9c2-GRXでは検出されなかった。NO刺激後のGAPDHのシステイン残基の酸化修飾の変化をWB法で検出しGAPDHのSH基の酸化還元状態を解析すると、H9c2-controlではNO刺激後の時間経過に従ってSH基の酸化修飾が増える傾向があったが H9c2-GRXでは抑制されていた。以上よりGRXの過剰発現は心筋細胞をNOによるアポトーシスから保護することが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
全段階の実験・データ解析・論文作成に時間を要したため
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Strategy for Future Research Activity |
全段階での実験で実験の準備と方法等は分かっているので、今後は研究の進行をスピードアップしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養に使用する試薬類、アッセイやウエスタンブロット法等で使用する試薬や抗体など、研究に必要な物品を購入する予定である。
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