2011 Fiscal Year Research-status Report
新規ビタミンE誘導体ETS-GSを用いた腎虚血再灌流障害への治療法の開発
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23791716
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
日下 淳也 大分大学, 医学部, 助教 (00567951)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腎虚血再灌流 / ビタミンE / 急性腎傷害 / 酸化ストレス / 炎症 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
初年度の計画としては、虚血再灌流障害時におけるビタミンE誘導体ETS-GS(ビタミンEを中心にタウリンおよびグルタチオンといった生体内に存在する抗酸化物質を化学的に結合した新規合成の化合物である。ビタミンEと異なり水溶性で安定性の高い化合物である)を投与することで、以下のポイントに沿って改善効果の有無があるかについて検討を行った。1)腎虚血再灌流後の血清中の腎機能マーカーとしてのCr,BUN値の測定し解析する。2)炎症性マーカーとしての血清中のNOx、サイトカイン量の測定をELISA Kit等を使用して解析する。3)腎組織中のROS測定を酸化ストレスマーカーを用いて検討する。これまでの基礎的検討により、腎虚血再灌流障害モデルにおいて、ETS-GSの投与は、その後の尿細管障害や糸球体障害に対して保護的に働くことが示された。また、驚くべきことに、腎虚血再灌流傷害後の生存の改善効果をもたらすことを見出すことに成功した。その詳細なメカニズムを検討するために、まず電子顕微鏡を用いて虚血再灌流後の腎細胞中のミトコンドリアの形態について検討を行うと、傷害後に認めるミトコンドリアの膨化やクリスタの破壊をETS-GSの投与は抑制することができた。また、この時の腎組織中の酸化ストレスに関しても軽減効果を証明することができた。これら、傷害後の腎細胞保護効果にはサイトカインの抑制等のメカニズムの関与も示唆された。以上のことから今回研究に用いた新規ビタミンE誘導体ETS-GSには、腎虚血再灌流傷害後の腎組織に対する保護効果を有する可能性が示唆され、本誘導体が各種虚血再灌流傷害において有効であり、新たな治療法になりうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、基本的なビタミンE誘導体(ETS-GS)の腎虚血再灌流モデルにおける効果を検討し、良好な結果を得ることができた。しかしながら、モデルの煩雑さや測定パラメーターの多さから、実験に予想以上の時間を要してしまい、当初予定していたスケジュールに比べると遅れがちである。また、その後の解析に関しても、キット選定やその後の納品の遅れなどのために、予定通りの進行を行うことができななった。実際、初年度に予定していた一部の研究に関しては、実行することが残念ながらできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、ビタミンE誘導体(ETS-GS)の腎虚血再灌流モデルにおける効果を検討し、良好な結果を得ることができた。そこで、本年度はこの有効性のメカニズムを調査するとともに、新規化合物であるビタミンE誘導体(ETS-GS)の安全性・安定性を基礎的に検討することで今後の臨床応用に向けた道筋をつけることを目標とする。さらに、研究がスムーズに進行し、時間的な余裕が生じた際には、当大学にてすでに合成し保有している他種の新規ビタミンE誘導体(初めに実験ターゲットとしたETS-GSはビタミンEにタウリン、グルタチオンを化学的に合成したものであるが、他にも側鎖を様々な生体内抗酸化物質に変更した化合物に対して複数種が成功している)に対する腎虚血再灌流傷害時の腎保護効果について検討を加えることで、より強力でかつ安全性の高い誘導体を模索し、最終的な臨床応用に向けた道筋を早期につけることを目標に研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度においても、昨年度に引き続き、本研究に必要な大型の設備等に関しては、科学研究費を使用するのではなく、大分大学にて保有している共同使用可能な実験機器を中心に使用していくことで、消耗品を中心に購入を進めていく予定にしている。実際昨年度に使用した、アニマルモデルに関する費用や各種パラメーターの測定に必要であったキット類の費用を考えると、次年度においてもかなり高額になることが予想されるので、この点を中心に科学研究費を使用していく予定である。そして、より効率的な研究費の使用に注力していく所存である。
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